――電力市場の自由化が進む中で、2030年の電源のベストミックスを決める意義をどう考えていますか。
2030年というと遠い将来のように考えられるが、電力業界にとって15年後は「明日」のようなものだ。火力発電所を建設するにもアセスメントを含めて10年以上かかる。再生可能エネルギーの中でも地熱などはやはり開発に長期を要する。東電の東通原発は誘致決議から着工まで40年もかかっている。15年後の電源をどのように賄うかを議論しておくことは、どのような制度改正があろうとも必要なことだ。
――経産省は電源構成を決める前提としての2030年時点の電力需要全体について、2013年度比約1%増の9808億キロワット時と試算しました。これは、年率1.7%の経済成長を前提に、省エネ対策で電力需要を約17%削減することで実現するとしています。
2000~10年のトレンドを見ても、GDP成長率と電力消費量はリンクしている。年率1.7%成長を前提とするならば、省エネ対策を織り込む前の2030年時点の電力需要は本来なら1.3兆キロワット時になる。それを1.17兆キロワット時に抑えたのは、妥当性に疑問がある。省エネで17%削減というのも、期待値が高すぎはしないか。つまり、電力消費量を少なく見積もり過ぎているのではないかと思う。
原子力25%が理想だが現実は厳しい
――電源構成の具体的な比率はどうあるべきと考えますか。
本来は電源別のコストを検証したうえで議論すべきだが、個人的に電源構成は原子力25%、火力50%、再エネ25%ぐらいが理想だと考える。すべてをバランスよく持つことが大切だ。
――原発比率25%が理想という理由は。
発電コストや安定供給・安全保障、CO2などさまざまな観点から、日本は原子力を使わざるを得ない。今後、原子力が世界で導入されていく中で、3.11を経験した日本だからこそ、安全な技術を世界へ提供していくならば、日本の中に技術や人材が維持されなければならない。そのために最低限、25%程度が必要ではないかと思う。
――「できるだけ原子力依存度を低減する」という政府公約からすると、25%は高すぎるのでは(震災前の2010年度は約29%)。
確かにそうした印象はあろうが、依存というのは1つの電源で50%以上を占め、それが絶たれると立ち行かなくなるような状況と理解すべきだ。民主党政権時のエネルギー基本計画(原子力比率約50%)のようなことはしてはならない。四分の一(25%)というのは、他で頑張ればカバーできる水準だ。
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