老舗ベンチャーキャピタルで「経営権争い」再び FVC社長の更迭を狙う筆頭株主は何者か

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FVCとDSG1のホームページ画像
FVCは1998年に京都で設立された業界の中でも老舗の独立系ベンチャーキャピタル(上画像はホームページより)。株主提案に伴ってDSG1が新設した特設サイトでは委任状集めを行っている(下画像は株主提案特設ホームページより)

株主提案による全経営陣の刷新からわずか10カ月――。東証スタンダード市場上場の独立系ベンチャーキャピタル、フューチャーベンチャーキャピタル(FVC)で、経営権争いが再び勃発している。

FVCの2022年の定時株主総会では、投資ファンド出身で個人投資家の金武偉(キム・ムイ)氏が経営陣刷新を提案。会社側があげた取締役候補はすべて選任が否決され、圧倒的勝利を収めた金氏が社長に就任した。

「私の感覚では、来年の株主総会の雰囲気が手に取るようにわかる。社内外の求心力を得るためにも、満塁ホームランのような大きな成果を出すのは難しくても、ツーベースヒットくらいの目に見える成果は出していかないといけない」。社長就任後の取材の際、金氏は意欲をみせていた。

去年の味方が今年は敵

2.5%の株式を保有するにすぎなかった金氏が勝利できたのは、同社の株主構成に理由がある。約6000人の株主のうちメインは個人。創業家株主はいない。その中で約8%を保有していた筆頭株主の法人「DSG1」が、金氏の株主提案に賛同し、経営陣交代を後押しした。

ところが6月13日に開かれる今年の定時総会を前に、DSG1が取締役7人の選任を求めたのだ。DSG1は今年2月から株を買い増し、6月3日までに保有比率が22%となっている。その影響力は大きい。

一方、現経営陣は金氏を含む2人の取締役(3人の監査等委員取締役は含まず)の再任案を出している。計9人で定数8人の枠を争うことになった。

金氏は中期ビジョンで2026年3月期の目標株価を2000円程度(直近株価780円)と掲げ、大型M&A(合併・買収)や持ち株会社化への移行などを打ち出した。

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