"不発"のピンタレスト、日本市場に根付くか 本社のエース級人材を投入してテコ入れ
「エース級のエンジニア4人と、デザイナーを本社から連れてきた。この“ジャンプスタートチーム”の力も借りて、日本のニーズにあったプロダクトを開発していく」。4月中旬に東京・中目黒の新オフィスで開かれた、画像共有SNS大手、米「Pinterest(ピンタレスト)」の記者会見。米国から来日した国際事業トップ、マット・クリスタル氏はこう力を込めた。
新興企業ながら、一時は企業評価額が10億ドル(約1200億円)を超える「ユニコーン」企業の一つとして、上場が期待されたピンタレスト。3月半ばには新たに3億6700万ドルを調達。創業5年で調達総額は10億ドルを超え、企業評価額は、今や110億ドル(約1兆3000億円)にも達している。
世界での月間アクティブ利用者数は7000万人に上り、利用者が自分のボードに保存する(ピンタレストでは「ピンする」と言う)画像数は、毎四半期ごとに25%ずつ増えているというのだから、数字の上では急成長を遂げている。
海外での利用者は拡大中
そのピンタレストにとって、日本は必ずしも成功している市場とは言いがたい。2013年11月に日本法人を設け、ワークショップなどを開いて利用者の開拓を続けている。が、フェイスブックやツイッターと比べて、利用している知人が少ないというのが多くの人の実感ではないだろうか。
日本でのこれまでの経過について、日本法人の定国直樹社長は、「もっともアクティブな利用者数は2014年、前年比3倍増えた。ローンチ期としては上出来」と見る。が、海外で躍進を遂げているピンタレストにとって、日本ではデザイナーやファッション関係者などが愛用する「知る人ぞ知る」的なサービスにとどまっているのは、物足りないだろう。
もっとも、ピンタレストが海外で苦戦しているのかというと、そうでもない。近年、同社は多言語化による海外進出を行っており、1年半前は7言語しか対応していなかったサービスは現在、31言語に対応している。海外拠点も、日本やフランス、ドイツなど5拠点に設置。これが功を奏して、2014年の海外の利用者数は、前年比2・4倍の2800万人に拡大し、全利用者の4割を占めるまでになっている。
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