GW羽を伸ばした人、やっぱり出かけなかった人 アフターコロナでもイマイチだった人出と消費

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公園で遊ぶ親子
超近場の公園などで過ごす人が多かった?(写真・PIXTA)

2023年のゴールデンウィークは、新型コロナウイルス感染症の5類移行を前に行動制限のない大型連休となり、個人消費の増加に期待がかかっていた。そこで、GW(4月29日~5月7日)の携帯電話GPSデータが出そろったところで、各施設とエリアの滞在人口を独自に集計し、分析した。

コロナ禍では、グーグルが提供していたグーグルモビリティレポートが注目され、当コラムでも紹介していた。しかし、グーグルのレポートは2022年10月15日をもってアップデートが終了した。

そこで、まずはグーグルモビリティレポートの作成方法に則り、①公共交通機関、②小売り・レストラン、③公園、のデータの延長推計を試みた。具体的には、auの携帯電話GPSを集計しているKDDI Location Analyzerを用いた。

なお、人流データでは国内携帯電話(au)のGPSデータを用いているため、外国人のデータ(インバウンド)は十分に捕捉できていない可能性が高い。あくまでも、日本人の個人消費に関する分析であることに留意されたい。

公共交通機関の利用は去年を下回る

連休中の移動需要が期待された公共交通機関の利用は、意外にも伸び悩んだ印象である。ゴールデンウィーク期間中の比較では、2022年の実績を小幅に下回った。

なお、NHKは大型連休の都道府県をまたいだ人の移動データを分析し、「去年とほぼ同じ結果」としたが、これと整合的な結果である。

人の移動の分析に詳しい早稲田大学の佐々木邦明教授は「去年とほぼ変わらない結果は意外に感じた」「大都市圏での観光需要が回復する一方で、特に遠方や高齢者の多い地方への人の移動の戻りが鈍くなっているとも考えられ、今後、地方経済への影響も危惧される」と指摘した(NHK)。

他にも、今回のゴールデンウィークは事前の期待が大きかったことから、人混みを避けるという人も少なくなかったのかもしれない。

他方、JR旅客6社はゴールデンウィーク期間(4月28日~5月7日)の利用実績をまとめ、新幹線と在来線特急などの主要線区を利用した人数は前年比1.32倍になったと公表した。

人流データと鉄道旅客のデータは矛盾するようだが、日経新聞が10日に報じたように、「GWの人出、近場より遠方に」という傾向があったのだろう。いずれにせよ、公共交通機関の利用はトータルでは「イマイチだった」という評価である。

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