アメリカの株価に一段と下落圧力が高まってきた 原油価格下落は限定、インフレ高止まりの恐れ

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OPECの重鎮、サウジアラビアのアブドルアジーズ・ビン・サルマンエネルギー相(右)とハイサム・アルガイス事務局長。原油価格が下落するとみるのは早計かもしれない(写真:ブルームバーグ)

原油先物価格が5月に入って、一時急落した。4日にはニューヨークのマーカンタイル取引所で取引されているWTI(ウエストテキサスインターミディエート)原油先物価格が一時1バレル=63ドル台となり、約1年5カ月ぶりの安値をつけた。

これは、3日のFOMC(連邦公開市場委員会)の結果を受けて、景気後退懸念が高まったことなどが主な原因だが、今後も原油価格はずるずると下落の一途をたどるのだろうか。結論から言えば、そうはならない可能性が高い。

価格が下落すればOPECプラスは一段の減産も

直近でこそ原油価格は下落気味だが、4月2日のOPECプラス(石油輸出国機構+ロシアなどの主要産油国で構成)の自主的な減産表明は寝耳に水だった。

このときはOPECではサウジアラビアが日量50.0万バレルの減産方針を打ち出したほか、イラクが21.1万、UAE(アラブ首長国連邦)が14.4万、クウェートが12.8万、カザフスタンが7.8万、アルジェリアが4.8万、オマーンが4.0万、ガボンも0.8万バレル、それぞれ生産を減らすことを表明した。

OPEC加盟国はすでに5月1日から実行に移しており、年末まで継続するという。また、ロシアも2月から50万バレルの減産をすでに行っており、これを合わせるとOPECプラスの追加減産量は日量166万バレルに達している。

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