中国の情報統制は「抜け道だらけ」だ

「拘束王」小林史憲×「レアメタル王」中村繁夫

中国の当局が最も警戒するのは何の問題か(AP/アフロ)
北京支局特派員として、中国全土を取材し当局に拘束されること計21回。最新刊『騒乱、混乱、波乱! ありえない中国』(集英社新書)を上梓した小林史憲氏(現テレビ東京 プロデューサー)と、最新刊『中国のエリートは実は日本好きだ!』(東洋経済新報社)の著者で、中国を知り尽くした日本のレアメタル王・中村繁夫氏とが異色の対談。第1回目は中国の最新メディア事情について、主に小林氏に語ってもらう。

なぜ小林氏は中国当局に21回も拘束されたのか

中村 最初に小林さんにお聞きしたいのは、「なぜ、そんなにも多く拘束されるのか」ということです。テレビ記者の中では小林さんがダントツだと思うのですが。

小林 ダントツかどうかはわかりませんが、総じて言えば、新聞記者よりもテレビ記者のほうが拘束はされやすいと思います。

小林史憲(こばやし ふみのり)テレビ東京『ガイアの夜明け』プロデューサー。1998年同社入社。2008年から2013年まで北京支局特派員。これまで中国すべての省・自治区・直轄市・特別行政区を訪れ取材を刊行。現場主義を貫き、当局の拘束回数はなんと21回にのぼった。

どうしても映像を押さえる必要があるので、なるべく現場に近づかなければなりませんし、また、ビデオカメラなどの機材は小型化しているとはいえ、撮影していればやはり目立ってしまいます。新聞記者はメモだけですから、一般人に紛れこみやすいですよね。

中村 小林さんが中国に赴任される以前には、あまり記者が拘束されるといった話は聞かなかったように思います。昔からテレビ記者の拘束は多かったのでしょうか。

小林 私の先輩たちの時代は、そもそも中国で外国メディアが取材するということに厳しい制限がありました。当時の取材と言うと、地方、特に農村地帯に行くためには事前に共産党の許可を取らなければなりませんでした。

そして現場に行くと、共産党が取材対象となる人を周到に準備していて、「さぁ、取材してください」という感じだったんですね。

貧困生活を送っていて政府に不満があるはずの農民が、「共産党のお陰で、幸せに暮らしています」などと言うんです。共産党側が用意したものを伝えさせられるので、なかなか自由に報道することはできない時代でした。

中村 日本に伝えられる記事もほとんどが、「人民日報」などが報じたニュースの伝達にすぎなかった。

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