戦闘が一気に勃発「スーダン」なぜこうなったのか 交渉の一方で戦闘準備していた2人の将軍

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今回の戦闘をきっかけに、なぜこのような事態になったのかについての議論や非難が巻き起こっている。スーダン国内やアメリカ政府関係者には、スーダン軍トップとRSFのトップを宥めながら権力を放棄させようとした諸外国(アメリカとイギリスだけでなく国連やアフリカ・アラブ諸国も)にも今回の惨事に対する責任があるのではと問う者もいる。

彼らが言うには、18カ月前にブルハン議長らがクーデターで権力を掌握して以来、外国の当局者らはブルハン将軍とダガロ司令官の非妥協的態度や脅迫に従いつつ、苦境に立たされたスーダンの民主化勢力を脇に追いやってきた。

スーダンの政治アナリストであるホルード・ハイル氏は、「ブルハン将軍らは何の責任も問われなかった」と言う。「拉致、失踪、見せかけの裁判、違法な拘留……国際社会はそれらすべてに見て見ぬふりをしてきた。政治プロセスのためだったが、それも今や酷い失敗となってしまった」。

対照的な2人の将軍

対照的な存在である2人の将軍は、長年にわたって足並みを揃えて行進していた。

62歳のブルハン将軍は、エジプトとヨルダンで訓練を受け、スーダンの南部と西部で繰り広げられている反乱作戦で部隊を指揮する、堅実な4つ星将校である。ナイル川沿いの村に生まれた彼は、1956年の独立以来、スーダンを支配してきた川沿いのアラブ部族から集められた将校階級を体現している。

40代後半のダガロ司令官はラクダ商人から民兵の指揮官に転身した。無慈悲な性格で知られ、着実に富と影響力を獲得してきた人物であり、「ヘメティ(Hemeti)」として広く知られている。

2人の将軍は2000年代初頭、部族間の反乱が勃発した西部ダルフールの暴力の嵐の中でキャリアを積んだ。当時、スーダンの独裁的な支配者であったオマール・アル=バシール大統領は、この反乱を鎮圧するためにブルハンを派遣した。

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