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デジタル取り付けが招く銀行破綻は規制の盲点 リーマンショック後の主眼は公的救済の回避

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危機は別の顔をしてやって来る。教訓を踏まえた対策の裏を突く。

ウォール街救済に反発するデモ
ウォール街救済に反発するデモ(2011年秋、ニューヨーク)(写真:ロイター/アフロ)

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3月9日午後の数時間のうちに預金残高(昨年末時点)の4分の1に当たる420億ドルが引き出され、翌朝には預金の流出見込み額が1000億ドルに達していた──。米シリコンバレーバンク(SVB)を破綻に至らせたのは、銀行業に本質的に内在するリスクである取り付けだ。流動性不足に陥った末の資金繰り倒産といっていい。

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SVBの破綻を受けて不安心理が高まり、かねて経営不振に陥っていた大手金融機関クレディ・スイスでも資金流出が加速。スイス当局はUBSによる救済合併にこぎ着けた。

2008年、米投資銀行リーマン・ブラザーズの倒産がグローバル金融危機を引き起こした教訓から、先進国は協調して金融規制改革を進めてきた。それなのに、どうして再び破綻が相次ぐことになったのか。

今回の事態から浮かび上がった規制の盲点について、金融規制の動向に詳しい野村資本市場研究所の小立敬・主任研究員は「リーマンショック後の金融規制改革が想定したのは、金融機関の破綻原因のうちバランスシート面(債務超過)が中心で、もう1つの流動性不足については十分に考えられていなかった」と指摘する。

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