日本の難民認定率が、わずか0.2%の理由 申請者は10年間で10倍以上に増えるが…

拡大
縮小

難民申請者は、2005年にわずか384人だったのが、2014年は5000人と、10倍以上に増えている。このよう申請者数が増加しているのは、難民申請の「悪用」も関係しているのだろうか。

「さきほど述べたように、正規の在留者から難民申請があった場合、申請から6カ月経てば、就労が認められます。2010年3月から導入された措置ですが、これを機に、認定申請数が増えています。

また、非正規の在留者からの申請数はほとんど変わらず、就労が認められる正規の申請数だけが増えていることからも、就労目的の申請が含まれているのではないか、と感じています」

母国が戦争状態にあるだけでは「難民」認定されない

難民の申請から認定結果が出るまで、平均で約7カ月かかるという。仮に認められなかった場合、異議申し立てをするケースもあるが、その結果が示されるまで、さらに約2年~2年半の時間が必要となる。つまり、約2年間は正々堂々と「就労」ができるというわけだ。

ところで、今年3月、4人のシリア人が難民認定を求めて裁判を起こしたが、390万人を超えるシリア難民受け入れは国際社会にとって切迫した問題だ。シリア難民については、どんな判断をするのだろうか。

「戦争状態であることだけをもって『難民』と認定することはできません。戦争状態にあることに加え、難民条約上の『5つの要件』のどれかに該当する場合のみ、難民と認められます。シリアも例外ではありません」

こうした難民条約の要件を厳格に適用しようとする日本の「認定基準」に対しては、厳しすぎるのではないかという批判も多い。その一方で、就労目的での難民申請について、就労を認めないような制度の見直しも求められているのだろう。

 

弁護士ドットコムの関連記事
「家もお金も失った」シリア人4名「難民認定」求めて日本政府を提訴
妻にセックスを断られ続けた夫が「風俗」に行ったら「離婚される」?
安倍首相の「美容室でカット」は違法?「男の散髪」の奇妙なルール
弁護士ドットコム
べんごしどっとこむ

法的な観点から、話題の出来事をわかりやすく解説する総合ニュースメディアです。本サイトはこちら。弁護士ドットコムニュースのフェイスブックページはこちら

この著者の記事一覧はこちら
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT