日本の難民認定率が、わずか0.2%の理由 申請者は10年間で10倍以上に増えるが…

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難民条約が規定する「難民」とは、「人種、宗教、国籍、特定の社会的集団の構成員であること又は政治的意見を理由として迫害を受けるおそれ」があり、かつ、その国をすでに離れている人のことだ。難民の認定を受けると、永住許可のほか、国民年金や福祉手当などの受給資格が得られる。

「かつて『インドシナ難民』の時代には、『ボートピープル』などとも言われましたが、決して全員がボートで来たわけではありませんでした。コンテナをあけたら人がいた、というのも日本ではあまりありません。現在、日本への難民申請者は飛行機に乗ってきています」

入国管理局難民認定室の小田切弘明補佐官はこう語る。

5000人の難民申請者に対し、認定者はごくわずか

難民申請を行う外国人は、日本に入国した後、全国にある入国管理局事務局で手続きを始める。難民申請後のプロセスは、日本での在留状況が、正規か非正規によっても異なる。

正規とは、観光や留学、技能実習制度などで入国してくるケース。非正規とは、いわゆる「不法滞在者」のことだ。2014年には、5000人の難民申請者のうち正規が4134人で、非正規は836人だった。

「申請している間も、正規で入国した人の場合は、申請から6カ月以降は就労が認められます。しかし、非正規の場合は認められません」

2014年の数字をみると、5000人の難民申請者に対して、認定者は11人にすぎなかった。この数字は少なすぎるのではないか。

「難民の認定制度は国によってさまざまであり、認定数が少ないからといって、一概におかしいということにはならないと考えています」。このように小田切補佐官は述べる。

「申請理由をみると、難民条約で規定する『国家から迫害を受けている』事実がないのに申請するケースも多く見受けられます。具体的には、母国で借金があるから、相続争いがあったから、あるいは、日本で働きたいからといった理由です。

このように申請理由は、必ずしも政治的な原因ばかりではありません。政府からの迫害を理由にあげる割合は、わずか10%ほどです。難民認定の趣旨を理解せずに申請する人もいれば、悪用が含まれている可能性もあるのではないかと考えています」

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