今回のコラムでは、地方創生にあたって、「形ばかりの『タテマエ計画』をつくることが、いかに地方にダメージを与えるか」ということをお伝えしたいと思います。
地方創生については2014年末に「まち・ひと・しごと創生総合戦略」が閣議決定され、今後5年の目標や施策、基本的な方向性が国から提示されました。それを受け、各地方自治体でも「自らの総合戦略」を発表しています。
なぜ自治体は非現実的な計画を平気で出すのか
3月3日のコラム「地方を滅ぼす『名ばかりコンサルタント』」でも触れましたが、他の地域をパクったような計画や、実効性のない計画は、その自治体を疲弊させるだけです。残念ながら、各地域の”戦略”をウォッチしていると、正直首をかしげたくなるものがいくつも見かけられるのです。
例えば、先日発表された京丹後市(京都府)の”戦略”には「驚き」の声があがっています。なぜかというと、人口がV字回復するというシナリオに沿って、計画が立てられているからです。京丹後市の「まち・ひと・しごと創生」に関する「総合戦略」をご覧いただくとよくわかります。
「地方創生」は、そもそも地方の人口問題を発端にスタートしました。それゆえ、地方自治体として国に提出する計画が、人口減少を前提としていては、理屈が通らないのかもしれません。
しかし、同市の人口は約5.9万人(2010年の国勢調査)です。国立社会保障・人口問題研究所では2060年には2.6万人程度まで減少すると予測しているものを、一気に7.5万人にするという計画をたてているのですから、あまりに非現実的とも言えます。
このような「都合」と「願望」をもとに全国の計画を積み上げていけば、日本の人口が計画上は2億人を突破してしまうという笑えない話になりそうです。これは今に始まったことではありません。このような野心的な目標を設定し、無謀な開発を行った結果、その都度計画は失敗に終わり、ツケは計画を立てた主体(地方自治体)に残されてきたのです。
この連載でも指摘してきた通り、地方活性化事業をすればするほど、負債が拡大し、衰退が加速するのです。では、なぜこのような事態は繰り返されるのでしょうか。
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