マセラティがライバルより先にエンジンやめる訳 創業110周年「フォルゴーレ」の名でBEVを投入

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マセラティ初のBEVとなる新型グラントゥーリズモ・フォルゴーレ(写真:Maserati)

マセラティの業績が、きわめて好調だ。2021年には全世界で2万4200台を販売したし、まもなく発表されるであろう2022年の販売台数が、それを上回ることも確実である。

さらに、近い将来には5万台レベルへの底上げも想定されているようだ。日本マーケットでも同様に実績を重ねており、2021年は1080台、2022年は1200台を超えると予想されている。

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「イメージリーダーである『MC20』が導入され人気を博しているのに加えて、既存の4ドアセダンの『クアトロポルテ』『ギブリ』も安定した売れ行きを示しています。もちろんSUVの『レヴァンテ』は引き続き高セールスを維持しています」

そう話すのは、マセラティアジアパシフィック統括責任者兼マセラティジャパン代表取締役社長の木村隆之氏だ。

新型SUV「グレカーレ」発進

クアトロポルテとギブリは2013年発表のモデルであるから、今年で10年目を迎える。しかし、マセラティ伝統のエレガントなスタイリングは古さを感じさせず、半導体不足で品薄なラグジュアリーセグメントにおいても、順調にデリバリーが進められた。

そして、2023年からは新型SUV「グレカーレ」のデリバリーが始まる。

グレカーレ(写真:Maserati)

グレカーレはレヴァンテより少し小ぶりなモデルであり、800万円台からの戦略的な価格が設定されている。ギブリに代わってマセラティのエントリーモデルとしての役割も期待される、重要なモデルだ。

全長は5mを切り、日本の道路事情にもマッチするうえ、客室の広さは上級モデルであるレヴァンテにも劣らない。2022年6月の発表以来、順調に受注を重ねており、このポテンシャルの高いモデルが、2023年の業績を大きくステップアップさせることは間違いない。

筆者は先んじて都内でグレカーレに試乗し、そのよさを確認している(筆者撮影)

「ステランティスグループの中で、マセラティは唯一のラグジュアリーブランドとして大きな投資が引き続き行われます。またブランドの独自性に関しても、FCA時代と変わりありません。グループトップのカルロス・タバレスは、モータースポーツの重要性もよく理解しており、フォーミュラEをはじめとするマセラティのレース参戦なども。彼の強いバックアップあってのことです」と木村氏は語る。

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