日本郵政、上場を前に目立つ泥縄式経営 ゆうちょ銀行社長兼務とIFRS採用表明の裏側

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日本郵政の西室泰三社長が、しばらくの間、ゆうちょ銀行社長を兼務することを発表(写真は、2014年12月の定例会見。撮影:今井康一)。

株式上場を今年秋にも控えている日本郵政(JP)で、泥縄式の経営が目につき始めている。

一つは、子会社ゆうちょ銀行の人事。3月18日、西室泰三社長が4月初からゆうちょ銀行社長を兼務する人事を発表した。同日の定例会見の席上、西室社長は「今回はやむをえない選択。積極的ではないが、最善の策だ。中途半端にのんべんだらりと(ゆうちょ銀行社長を)続けるつもりはない。上場時には専任社長がいるのが望ましいので、今後、選ぶ作業をさらに積極的に進めていく。6月の株主総会までに選任できるのがベスト」と話した。

上場するゆうちょ銀行が事実上のトップ不在

西室社長は前回2月18日の定例会見で、ゆうちょ銀行の井澤吉幸社長から辞任の申し出があったことを明らかにしたが、この間、後任社長を選ぶことが出来なかったことになる。今後は、兼務期間においてJP、ゆうちょ銀行両社の利益相反を避けるため、社内規定の厳格化や体制整備を検討していくという。

ゆうちょ銀行は今年後半に、JP、かんぽ生命とともに、異例ともいうべき同一グループの3社親子同時上場を予定している。その上場を目前に控えた銀行トップが交替するのも異例ならば、実質的なトップ不在とも言える状態も異例であろう。西室社長は「今年後半に予定している上場はスケジュール的に大丈夫」とするが、早期に次期社長を選任できない場合、本当に上場スケジュールに影響を及ばさないのか、懸念が残る。

もう一つはIFRS(国際会計基準)の採用。西室社長は「今後、IFRSを採用していく。保険など確定していない分野もあり完全な移行にはしばらくかかるが、可能な限り早く、できるところから、さし当たりJPグループ連結から移行していきたい」とした。

IFRSを採用すると具体的に何が変わるのか。西室社長が挙げたのが、2月18日に今後の成長戦略の柱の一つとして発表した、JPの中核子会社である日本郵便による豪州物流大手トール社の買収の扱いだ。「のれん償却が財務面で心配だ、という評論が散見されたが、IFRSを採用した場合にはこの負担がなくなる」(西室社長)。

巨額6300億円の買収により、のれんは3000億円超発生する見込みだ。現行の日本基準であれば最長20年償却でも年償却額は150億円。一方で、JPの子会社である日本郵便の2015年3月期経常利益計画は60億円に過ぎない。日本郵便が連結決算を公表すれば、営業利益や経常利益段階での赤字もありうるだろう。

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