AppleWatchは「iPhoneからの出口戦略」だ iPhoneと連動せずに動くアプリに注目

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例えば家の中でも、iPhoneを充電しながらApple Watchだけつけていれば、通話にも出られるし、すぐに返事をした方が良いメールに気づくことができる。あるいはSiriでちょっとした調べ物や、Evernoteを使ったメモにも対応する。

音声入力ですべての文字入力を行うことになるが、iPhoneやiPadに既に搭載されている音声入力を使って見ると、これが非常に快適なのだ。もちろん固有名詞など対応しにくい文字もあるが、メッセージのやりとりやアイディアを書き留めるには十分実用性がある。

こうして、スマホを握りしめながら生活する「スマホ依存」を、適度に緩和してくれることが期待できる。そのため、腕時計をしていないスマートフォン中心の人々にとって、Apple Watchの訴求力が高いと考えているのだ。

バッテリーなど、進歩がまだまだ必要

Apple Watchは、今後、とても面白いデバイスになると予測している筆者だが、個人的に使うことは難しいと感じている。それはバッテリーが18時間しか持たないためだ。

おそらく、日中、途中で電池がなくなってしまうことはないだろう。そこを心配しているのではない。家に帰ってきて充電してしまうと、就寝時には装着できない。

できれば、つけっぱなしで寝て、朝、Apple Watchの手首のノックで起床したいと思っていたのだが、するといつ充電すれば良いか分からない。帰宅して充電し、寝るときに装着すれば良いかもしれないが、すると日中の動作時間に影響が出る。

Apple Watchには前述の通り、省電力モードがあるため、1日の終わりまで時刻表示を実現することはできそうだが、欲を言えば、睡眠中のトラッキングなどを含め、活用したかったところだ。

またiPhoneなしで動作するスタンドアロンアプリの充実などを含め、Apple Watchの魅力を引き出すための開発者コミュニティのコミットもこれからの課題となる。アップルのWatchKitの拡充に架かっている。

4月24日の発売まで、1カ月強を残しているが、人々がApple Watchを手に入れ、どのように生活に取り入れるのか、アップル自身もアーリーアダプターからのフィードバックを待っているのではないだろうか。

松村 太郎 ジャーナリスト

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まつむら たろう / Taro Matsumura

1980年生まれ。慶應義塾大学政策・メディア研究科卒。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)、キャスタリア株式会社取締役研究責任者、ビジネス・ブレークスルー大学講師。著書に『LinkedInスタートブック』(日経BP)、『スマートフォン新時代』(NTT出版)、監訳に『「ソーシャルラーニング」入門』(日経BP)など。

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