「説教の場」と化する恐怖の評価面談! ④課長、その面談ってパワハラですよ

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② 話し合う素材が不足する:部下もきちんと自己評価を行なわずに面談に臨んでしまうと、その場で受け身になりがちです。その結果、上司から意見や質問を求められても発言できず、気まずい沈黙に陥ります。その気まずさを避けるため、上司が話をしがちとなり、それが繰り返されているうちにくどくなります。このような結果、期末の面談が「お説教」に転化しやすいのです。

期末面談を楽しく前向きにする秘訣

期末面談の目的は、仕事ぶりについて深く話し合うこと。上司と部下の評価が異なる原因が分かれば、目的の過半を果たしています。評価者である上司は、評価結果が部下の意見と一致することにこだわる必要はありません。

 期末面談はどうしても暗く、お説教の場になりがち。これでは部下は「面談恐怖症」に陥るかもしれませんし、次の期へのやる気を失うかもしれません。では部下が評価に納得し、モチベーションを上げるようになるにはどうすればよいのでしょうか。上司の皆さんに面談を楽しく前向きに進める3つの秘訣をお教えしましょう。

 ① 面談と評価結果の説明を切り離す:面談の段階では、評価結果を説明せず、素直な話し合いをすることに力を入れます。評価結果は、最終結果が決まってから説明するという段取りで。この流れであれば、面談時に上司は説得的な話をする必要がありません。部下の意見に耳を傾けることが可能になります。

 ② 面談用のメモを部下がつくる:面談用のメモ(部下が上司と話し合いたいことのメモ)を部下が作成し、それを上司が見ながら話をします。この場合、部下が意見交換したいテーマに沿って、上司の意見が述べることになりますので、部下も「話を聞いてもらった」感が強くなります。

 ③ 沈黙には沈黙で:面談において部下との間に沈黙が生まれたときには、上司も沈黙し、不必要な発言をしないでおきましょう。あまりに長く沈黙が続くときには、いったん面談を終了します。部下が話し合いたいと思わないときには、無理して続けても意味がないからです。

  いかがでしたか? この3つを実践すれば、職場の雰囲気もよくなり、チームの生産性も向上します。その上、上司は部下から尊敬の目で見られることでしょう。

評価の仕方で部下のやる気、職場の成果は変わるものです。評価者として管理職として知っておくべきことをわかりやすく解説した拙著『正しい目標管理の進め方』もご参照ください。拙著出版を記念して少人数の無料セミナーも行います。詳細は「東京会場」「大阪会場」をクリックください。
                                                                イラスト:ふるはしひろみ 

中嶋 哲夫 人事教育コンサルタント、MBO実践支援センター代表

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なかしま てつお / Nakashima Tetsuo

1948年生まれ。京都大学経済学部卒業。20年間の企業生活(鐘淵化学工業、現・カネカ)において、企業内ベンチャー、営業、人事の業務を体験。人事部門では、社員教育と人事企画を担当し、目標管理制度の運用に従事。仕事を通じて学ぶ目標管理に共鳴し、その考え方と実践ノウハウを現場管理者とともに開発。1991年に退社し、人事教育コンサルタント。産労総合研究所MBO実践研究所顧問を務めた後、MBO実践支援センターを設立。代表として良い職場づくりを目指す人事担当者と管理者を指導する。数多くの企業において、目標管理を活かした職場づくりを指導している。この間、大阪大学大学院国際公共政策研究科に進み、人事評価データや賃金データの統計解析を研究。2007年に博士(国際公共政策)。現在、大手前大学、大阪商業大学大学院にて非常勤講師を務める。著書に、『岐路に立ったら読む ライフマネジメント』(共著、中央経済社)、『目標管理ハンドブック』(共著、経営書院)、『人事の経済分析』『人事の統計分析』(ともに共編著、ミネルヴァ書房)など。

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