シダックスTOB、混乱を収束させた「直接交渉」 オイシックスが27%出資へ、具体策は今度提案

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TOBに揺れたシダックス。1カ月以上にわたって社内は混乱した(編集部撮影)

1カ月以上にわたる混乱がようやく収束した。

オイシックス・ラ・大地が実施していたシダックスに対するTOB(株式公開買い付け)。10月7日、シダックスの取締役会はTOBに対する意見を「反対」から「中立」に見直した。それを受け、シダックス株を保有する日系投資ファンド、ユニゾン・キャピタルはTOBに応募する方針を表明、TOBは成立する見通しだ。

オイシックスの狙いはフード関連事業

オイシックスがTOBを始めたのが8月末。ユニゾンの保有する約27%の株式を取得することが目的だった。ユニゾンは2019年の出資時、志太勤一会長兼社長らシダックス創業家と株主間契約を結んでおり、創業家が求めれば、創業家かその指定先に保有株を売却する取り決めだった。そうした中、創業家から売却先に指定されたのが、オイシックスだった。

しかしシダックスの取締役会は、オイシックスの狙いはTOB成立後にフード関連子会社の株を取得することにあるとして、TOBに反対を表明した。社員食堂や病院向け給食などのフード関連事業は、シダックスの祖業であり、売上高の約45%を占める主力事業だ。

TOBが成立すれば、創業家とオイシックスの株式保有比率は約6割になる。また創業家とオイシックスは、TOB成立後にフード関連事業における業務提携を最大限推進する覚書きも締結していた。取締役会は、TOBが成立するとオイシックス以外からのフード関連事業の協業提案を検討する機会が奪われ、一般株主の潜在的利益を損なうおそれがあると主張した(詳細の経緯はシダックス取締役会が「TOB反対」を続ける真意を参照)。

ではなぜ今回、TOBは成立へと動き出したのか。

きっかけは、シダックスの取締役会を主導してきた柴山慎一専務とオイシックスの高島宏平社長との「直接交渉」だった。

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