日本人よ、「要領よく出世する人」を目指そう あらゆる組織に共通する「出世の法則」

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「匠」を目指す心構えは、仕事に取り組むスタンスとして重要なものですが、そもそも私たちの仕事の多くは、匠的に集中してひとつのことを突き詰めるようなものではありません。サラリーマンは、費用対効果も考えながら、複数の仕事を進めなければならないからです。

「要領がいい」というのは、まさしくこのバランスを見極めることなのです。私たちは、この匠の世界のよさを理解しつつも、複数の仕事の間でメリハリをつけて、要領よくまずまずの合格点をとることを考えなければならないのです。匠は心構え、実践は費用対効果、というバランスこそが必要で、これが「要領よく働く」ということなのです。

「要領がいい人」が出世するのは当たり前

これまで企業全体の話をしてきましたが、もちろん「要領のよさ」は、サラリーマン個人も身に付けておかなければならない能力にほかなりません。それができる人こそが、管理職になり、出世していくのです。

たとえば、あなたが上司だったとしましょう。大口顧客の要望を適切に処理し、社内外でうまく立ち回って効率よく利害調整ができる部下とできない部下、どちらを出世させたいと思いますか?

今度は逆に、あなたが部下だったと考えてください。関連部署の間でうまく立ち回り、さまざまな利害関係を処理して、残業なんかさほどしなくても、あなたが出したアイデアや提案を実現してくれる上司とそうでない上司、どちらの下で働きたいですか?

答えは、明らかなはずです。このように「要領がいい」ことは、出世するためにも絶対必要な能力なのです。

また、そういう人は時間的にも余裕ができ、プライベートでの生活も充実しています。これを逆に考えると、もしあなたが今、仕事が楽しくない、プライベートが充実していない、と感じているなら、きっとあなたは「要領の悪い」働き方をしていることになります。

要領よく仕事をすることは、自分だけでなく、部下や同僚、そして上司にまでも、余裕を与える、重要なことだということです。

では、要領のよさを身に付けるために必要なものは何でしょうか? この連載で順にご説明しますが、要約していうと次のようなものです。

① 上司の上司、経営者の視点で考え、会社という生き物をしっかりと理解している

② 謙虚に上司や部下のよいところを見ようとし、他部門にも入り込もうとしている

③ 一般的なこと、自分の常識も疑い、つねにアンテナを張り能力を高め、生活水準を整えている

これらの詳細は、次回以降の連載にご期待いただければと思います。

村上 賀厚 ノリ・コーポレーション代表取締役

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むらかみ のりあつ / Murakami Noriatsu

有限会社ノリ・コーポレーション代表取締役。グロービス経営大学院客員准教授として、人材マネジメントや組織行動・リーダーシップ分野を担当。
同志社大学商学部卒業、イェール大学経営大学院経営管理学修士(MPPM: Master in Public and Private Management、現MBA)取得。大阪市生まれ。
マーケティングエージェンシー2社で営業およびプランナーとして勤務後に、株式会社日本コンサルタント協会および住友ビジネスコンサルティング株式会社で人事コンサルティングを経験。
イェール大学経営大学院留学後は、フォード自動車(日本)株式会社(人事課長)、日本JDエドワーズ株式会社(人事部長)、日本モンサント株式会社(人事総務本部長)、ロイター・ジャパン株式会社(人事本部長)、GEコンシューマー・ファイナンス株式会社(人事本部ディレクター)など、世界の上場企業の日本法人で人事の責任者を務める。独立後はノリ・コーポレーション代表取締役として研修やコンサルティングを行うとともに、収益不動産の開発も手掛ける。

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