ガンホー社長が語る、パズドラ"長寿"のコツ 国内3400万ダウンロード突破、次の一手は?

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森下社長は、「魂が合っていれば、あると思う」と、同業他社を買収する可能性も否定しなかった

――パズドラのヒットで潤沢なキャッシュを手にした。使い途は?

予測の難しいゲーム業界では、ある程度、内部留保は厚めに持っておくことが必要。でも、海外展開を加速度的に進めていくために、やはり先行投資は必要になる。自社開発だけがベストとは思っていなくて、本当に優れたデベロッパーは 海外にたくさんある。そうした投資も含めて積極的にやっていこうと考えている。

ただ、投資会社ではないので、eコマースの会社や不動産業を買収するつもりはない。ゲームが儲かるからやろうとか、ほかのことで器用に儲けてから別の事業に鞍替えしたり、商社的というかIT企業っぽいやり方もあるのかもしれない。でも僕らはゲームしかできないし、それしか考えていない。

――同業の買収は考えているのか。

”魂”が合っていれば、あると思う。でも、開発体制を大きくすることが本当にいいことなのかは、疑問に思っている。

ゲーム作りは、泥臭い

――積極的に採用を増やすゲーム会社もある。

ゲームって、人がいれば作れるってみんな思っている。ゲームを作ることは、単純な作業とは違う。何て言えばいいんだろう。。泥臭い。

たとえば僕が言っていることがすべて正しいとは限らない。でも、それを信じるか信じないかの世界になってくる。「こういうの作るの、どう思う?」と本当にガチでやっていく中で、相手を”作業ロボット”としては見ていない。個々人の得意不得意もあるし、本当に泣き笑いの世界。笑っちゃいますよね、本当に。 作っている最中に「お前そうじゃなくて、こうだろ。お前のその言い方、悪い」とか。泥臭いんです、やっていることは。

――当然、次のヒットも狙っていきますね。

次のヒットというよりも、もう一度、スマホゲームの市場を作り直したい。実は2年前からずっと考えていて、自分の中で1つの結論が昨年になって見えてきた。開発に着手し、年内には新しいゲームを出したい。

スマホゲームは、僕らの中でも”ブラックオーシャン”と呼ぶ飽和市場となっている。パズドラに限らず、ユーザーも似たゲームをやり続けると飽きてくる。その中に一石を投じ、一瞬にしてブラックオーシャンをブルーオーシャンに変えるようなゲームをずっと考えている。年内に出すのは、変わったゲームというよりも、相当いっちゃってるものじゃないといけないと思っている。でも、そんなゲームは外す可能性も大だなぁ、と。

――出してみないと分からない?

そういうことです。大きく外すか、完全にジャストミートしてガツンと行くか。今の市場環境を見ながらモノづくりをするよりも、市場は自分たちで作っていくんだと思っている。過去にPCオンラインゲームという市場を作り、パズドラでスマートフォンでのオンラインゲームの市場作りをしてきたので。やはり自分たちは、そういうことが好きな会社なんだと思う。

(撮影:梅谷秀司)

「週刊東洋経済」2015年2月28日号<23日発売>「この人に聞く」に加筆)

前田 佳子 東洋経済 記者

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まえだ よしこ / Yoshiko Maeda

会社四季報センター記者

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