新型クラウンに「らしさ」を求めてはいけない訳 4つのタイプを「掛け値なし」で見たその本質

✎ 1〜 ✎ 53 ✎ 54 ✎ 55 ✎ 最新
拡大
縮小
先行して発売される「クラウン クロスオーバー」(写真:トヨタ自動車)
この記事の画像を見る(122枚)

通算16代目となるトヨタ「クラウン」の新型が、7月15日に発表された。ボディが「クロスオーバー」「セダン」「スポーツ」「エステート」と4タイプもあり、最初に投入されるクロスオーバーは従来のクラウンと一線を画したスタイリング、横置きパワートレインの4WDなど、話題にあふれた1台になっている。

東洋経済オンライン「自動車最前線」は、自動車にまつわるホットなニュースをタイムリーに配信! 記事一覧はこちら

ゆえに発表直後からさまざまな意見を目にしているが、多くの意見は従来のクラウンと比べてのものであり、新型車単体の評価、ライバルと比べてどうかなどの意見は不思議なほど少ない。

それほどクラウンというブランドが、日本の乗用車シーンにおいて大きな位置を占めていることを教えられたが、「軽自動車としては」「ミニバンとしては」という評価軸を思わせるところもある。

そこで、ここではクラウンという枠を外して、4つのボディを出してきた意味と、個々の位置づけをつづっていきたい。

全長の短い「スポーツ」の位置づけ

筆者は新型クラウンが4つのボディを持つことと、グローバルにうって出ると宣言したことは、リンクしていると思っている。とはいえ、すべてのボディをすべての市場で販売するつもりはないだろう。

実際に発表会では、豊田章男社長が「エネルギー政策は地域ごとに違うので、クラウンファミリーの中でカーボンニュートラルを達成していく」と語っており、ミッドサイズ・ヴィークル・カンパニー(MVC)でプレジデントを務める中嶋裕樹氏は、「地域に必要なものを導入していく」としていた。それを示唆するのが、ハッチバックのスポーツだ。

ハッチバックスタイルの「スポーツ」(写真:トヨタ自動車)

2021年12月に行われた「バッテリーEV戦略に関する説明会」で披露された16台のうち、最後列中央に展示してあった「クロスオーバーEV」とそっくりだからである。

スポーツのボディサイズは全長4710mm×全幅1880mm×全高1560mmで、ホイールベースは2770mmだ。4930mm×1840mm×1540mm、ホイールベース2850mmのクロスオーバーと比べると、かなり短い。

これがBEVであれば、サイズを含めて、ヨーロッパ向けトヨタBEVのプレミアムモデルという位置づけが納得できるのである。

次ページセダンが「ミライ」に似ている理由は?
関連記事
トピックボードAD
自動車最前線の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT