新型クラウンに「らしさ」を求めてはいけない訳 4つのタイプを「掛け値なし」で見たその本質

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特にクロスオーバーのキャビンまわりは、世界的にファストバックスタイルがトレンドになっているためもあるが、ホンダの先代「シビックセダン」、シトロエン「C4」など、似ているクルマがいくつも頭に浮かんだほど。

2020年に本国発表、2022年に日本発売となった現行シトロエン「C4」(筆者撮影)

しかし、クロスオーバー/セダン/スポーツ/エステート、4タイプのデザインには、似ている箇所もある。それは、ハンフリーズ統括部長も「統一感を持たせた」というヘッドランプまわりで、たしかにグリルレス/細いランプ/バンパーの大きなインテーク、という構成は共通している。

もちろん、それは堂々としたグリルを掲げていた従来のクラウンとは対照的であり、メルセデス・ベンツやBMW、そして身内のレクサスとも一線を画す。

左右のヘッドランプをモールでつないでいるので、こちらも近年のシトロエンを思わせるが、同時に同じトヨタの「ハリアー」との近さも感じる。

細く、モールでつなぐヘッドライトは4つのボディタイプに共通するモチーフ(写真:トヨタ自動車)

現行ハリアーが好調な販売成績を上げていることは、知っている人も多いだろう。それは「ヴェンザ」の名前で売られる北米でも同様だ。その流れを受け、よりモダンかつスマートに仕立てたのが、新型クラウンの顔だと筆者は思っている。

逆にリアは、コンビランプの上下を薄くして高い位置に置いたことは共通しているものの、それ以外はバラバラで、クラウンファミリーとしての統一感は薄い。

初の“グローバル・クラウン”として

発表時にインテリアが公表されたのは、最初に発売されるクロスオーバーだけだ。そのデザインは、エクステリアと比べるとかなりコンサバティブである。

新型クラウンでもっともクラウンらしいのはこの部分とも言えるが、メーター、ステアリング、ドアオープナーなど、目に入る多くのディテールに既視感があり、欧米では保守的と評されるかもしれない。

そもそも海外では、クラウンについての予備知識がゼロに近いので、トヨタの新型車の1つとして受け入れることになる。そのとき、現地のメディアやユーザーはどう判断するか。それが新型クラウンの真の実力を示すのではないかと思っている。

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森口 将之 モビリティジャーナリスト

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もりぐち まさゆき / Masayuki Moriguchi

1962年生まれ。モビリティジャーナリスト。移動や都市という視点から自動車や公共交通を取材。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。著書に『富山から拡がる交通革命』(交通新聞社新書)。

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