三井化学、中国の投資攻勢に耐えてV字回復 リストラによる3期連続赤字から黒字化へ

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千葉にある三井化学のエチレンプラント。千葉地区には5基のプラントが並び、再編の必要性が叫ばれている
三井化学は2月4日、第3四半期決算(2014年4~12月)を発表、たしかな業績回復が鮮明となった。前2014年3月期までの3年間はPTA(高純度テレフタル酸)、ウレタン、フェノールの3品が中国の過剰設備問題で構造不況に陥り、リストラを断行。合計600億円の関連特損を計上したことで3期連続で最終赤字を計上した。しかし、今2015年3月期は純益150億円と黒字化の見通しだ(前期は251億円の赤字)。淡輪敏社長に、業績回復までの道のりと今後の展望について聞いた。

ウレタンでは韓国会社と合弁設立

――中国の過剰投資はどの程度の規模だったのか。

本来は、PTA、ウレタン、フェノールなどの市況製品は、景気循環による収益が変動がする。しかし、中国が一気に設備投資をしたせいで、供給過剰が行き着くところまで行ってしまった。特に過剰感が強かったのはPTAだ。それまで中国は輸入する立場だったが、2012年頃から一気に中国は自国の需要をまかなえるようになり、日本からは輸出ができなくなった。ざっくり需要2500万トンに対し4000万トンくらいの生産能力となった。

そこで中国向けの拠点を中心に、PTAの拠点の整理を一気に進めた。具体的にはインドネシアにあった英BP社との合弁プラント(生産能力50万トン)は保有株をBPに売却して撤退。タイに3基あったプラントは1基を停めた。一方、日本の岩国にある製造拠点は、現状7割の稼働だが、今年3月に他社工場が停止するので需給が引き締まるため、フル稼働を目指している。

ウレタンに関しても、中国での過剰な設備投資で需給が悪化した。そのため、来2016年5月をメドに鹿島での生産を停め、大牟田では2基あるプラントを1基へと減らす。大牟田工場は原料を自主製造していることから競争力があり、現状の円安水準では輸出も可能だ。

ウレタンに関しては、同業である韓国のSKC社と合弁会社を設立、折半出資で今年4月に始動する。ともに自動車向けに強いこと、生産拠点がかぶらずに相互補完できる点が大きい。この合弁設立は、構造改革というより、攻めの意味合いが強い。シナジー効果を発揮して利益も出していきたい。

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