「相続のプロ」が実父に遺言を頼んでかかった歳月 元気なうちの遺言作りは誰でも気が進まない

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相続のプロたる税理士でも、父の相続では苦労をしました(画像:書籍より一部抜粋)
相続・相続税対策の定石は遺言の作成です。節税につながるだけでなくトラブル回避にも有効だからです。しかし、6,000件以上の相続税を申告してきた税理士が、自分の父の相続対策で直面したのは「教科書どおり」にはいかない現実でした。
本稿では遺言作成のリアルについて、ランドマーク税理士法人・清田幸弘氏の新著『相続専門の税理士、父の相続を担当する』から一部抜粋、再構成しお届けします。

元気なうちに「遺言」を書く必要性

父が亡くなる前から、私は父に「遺言書」の必要性を伝えていました。遺言書は、被相続人が、遺産相続についての最終的な想いを伝える書面です。

〈遺言〉
ある人の生きている間の最終的な意思決定(財産の分割方法など)を、その人が死んだあと、具体的に実行させるための方法。満15歳以上になれば、いつでも作成できる。

父が「病気になってから」ではなく、「まだ元気なとき」に遺言書の作成をお願いしたのは、

「亡くなる直前だと、父の死が現実味を帯びてくる(父が死を意識して、動揺しかねない)」
「仮に認知症などで判断能力がなくなった場合、遺言が残せない」
「相続をする子どもたちにとって、相続のことは尋ねにくい」
「家族に対する父の想いを残してほしい」

といった配慮からでした。

遺言書作成の依頼先は、弁護士、司法書士、行政書士、税理士、金融機関などです。

相続税対策なら税理士、権利関係の複雑な不動産がある場合は司法書士、相続トラブルの起きる可能性が高いときは弁護士、気軽に遺言書を作成したい人は行政書士など、それぞれの専門家によってメリットやデメリット、費用が異なります(父は不動産を所有していたため、司法書士に依頼しています)。

どの専門家に依頼すればいいかわからないときは、相続に精通するコンサルティングファームに相談するのがよいでしょう(コンサルティングファームであれば、弁護士、司法書士、行政書士、税理士が在籍しているため、適任者が見つかりやすい)。

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