日本企業は、相手のルールに順応しすぎ?

「ルールは自ら作る」という視点の重要性

今、日本企業が世界で勝てない理由のひとつに、各国政府への「ロビイング不足」があります。そもそもロビイングとはどのようなもので、日本企業が今後、身に付けるべき技術とは何か。前回対談に続き、日本企業や国の利益の拡大のために、各国政府と折衝する西村あさひ法律事務所の藤井康次郎弁護士にお話を聞きます。
※前編:「世界のルールを変える、若き弁護士の挑戦」はこちら

ルールを変えるために必要な「戦略性」

桑島:藤井さんは、弁護士がロビイングにかかわることの意味について、どうお考えですか。

藤井まず、ロビイングにおける法の役割とは何かを考える必要がありますね。企業が既存の法律や政策を改正してほしいとか、新しく作ってほしいと主張するとき、法律家の大事な役割は、「法の支配」というコンセプトに基づいて仕事をすることなんですよ。

桑島「法の支配」というのは、「いいからみんな黙って法律に支配されなさい、法律に従いなさい」ということではないですよね。

藤井康次郎弁護士

藤井そのとおりです。抽象的な意味での「法」には、実現しようとしている価値観があるんですよ。

たとえば正義、平等、効率性、予測可能性、適正手続き、機会の保障など。これらの要素から実際の法律や政策を評価し、問題があればこれらを改善していくという考え方です。

われわれのような渉外弁護士は、似たような先例が過去にない場合がほとんどです。そういった中で、正義とか平等、効率性とか予測可能性とか適正手続きなど、「法」の目指すそれぞれの価値観から議論を重ねて、妥当な解決を導けるかどうか。それができるのが、「法の支配」に忠実な弁護士です。これを僕は個人的に「戦略的法務感覚」と言っています。

桑島その「戦略的法務感覚」がロビイングには必要だと。

藤井そうですね。たとえばある会社が、「今のままでは市場に参入できないから、ルールを変えてほしい」という場合。法が実現しようとしているいろんな価値観を踏まえて議論を作る、理論武装するということが、非常に重要な土台になると私は考えています。これは、競争法や企業危機管理、通商法の実務経験を積む中で、法的な理論武装をして日本の当局やほかの国の当局と折衝し、時には裁判のような手続きに踏み切ってきた中で培った見方です。

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