リーマンショックの傷も癒え、アベノミクスの後ろ支えがあってもなお、かつてのような成長や輝きを取り戻せないといわれる日本企業。世界のマーケットにおいて、日本企業のプレゼンスは下がる一方と言われることもあります。その原因はいったい何でしょうか?
イノベーションが起きにくい組織、流動性の低い労働市場、グローバル化の遅れなど、さまざまな要因が指摘され、研究されています。しかし、私は別のところにも大きな原因があると思っています。
それは日本の「ロビイング不足」。
ロビイングと聞いても、耳慣れない方が多いのではないかと思います。定義についてもさまざまあるようですので、ここでは私の解釈をお話したいと思います。
私は、ロビイングとは自社の経営戦略の実行のため、たとえば規制であったり、国際標準であったり、自社に有利な戦略環境を各国政府や国際機関に対し一足先に働きかけ、競合に先んじて実現させていく活動のことだと理解しています。人によっては、ルールメーキングと呼んだりもします。
海外で作られたルールに従って粛々と戦うのと、自らが作ったルールの上で敵を迎え撃つのとでは、どちらが有利かは明らかです。自社に有利なルールを作る活動により経営資源を投入し、もっと戦略的、かつグローバルに各国政府・国際機関に働きかけていく――。これこそが今の日本企業に足りないマインドだと思うのです。
なぜ米国は構造改革に成功できたのか?
私がそう感じ始めたのは、米国留学していたときのこと。当時、2007~2010年はちょうど金融危機が発生し、またオバマ大統領が就任した頃にあたります。米国社会が激動を迎え、金融主導の経済成長から、たとえばクリーンエネルギーの推進など、経済構造のさらなる転換を果たそうとしていました。
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