勝ち続けるソフトバンクの“離れる戦略”

卸、ケータイ、ロボット…コア事業を変える

 厳しい時代に伸び続けている企業は何が違うのか? 苦境から奇跡的な復活を遂げた企業は何をしたのか? 成功しているビジネスパーソンは何を実践しているのか? その秘密は「離れる戦略」にあります。過去の常識から離れ、商習慣から離れ、古い組織構造から巧みに離れることで、勝者の座に就くのです。この連載では、勝ち続ける者だけが知っている「離れる戦略」を、古今東西、最新の戦略理論もからめて易しく読み解いていきます。
2014年11月4日、ソフトバンクの決算発表会見での孫正義氏 (写真:梅谷秀司)

一代で売り上げ高6兆円の企業を創った孫正義氏

携帯電話・インターネット通信企業のソフトバンクは今年、中国最大のネット通販会社アリババのニューヨーク証券取引所上場でも話題となりました。ソフトバンクは2000年、創業期のアリババに出資しており、3割を超える筆頭株主です。アリババ上場による保有株時価総額は約10兆7000億円(11月24日時点のニューヨーク証券取引所でのアリババの株価:114ドル、為替:1ドル=118円で算出)です。

携帯電話や検索サイトYahoo!で私たちの生活に浸透している同社は、孫正義氏の創業から33年、極めて短期間で巨大企業への飛躍に成功している希有な存在です。そして着目すべきもうひとつの特徴は、コア事業が何度も変化していることです。

○1981年の創業時:ソフト流通業
○1980年代後半:LCR(最も安い通信事業者を自動選択するシステム)
○1990年代半ば:検索エンジンのヤフー
○2006年:ボーダフォン買収による携帯事業参入

成長の過程で多数のM&Aを行い、米国第3位の携帯電話会社スプリント・ネクステルなども傘下に収めており、現在はテレビCMにも登場している対話型パーソナルロボットの事業にも注力を始めています。

このように驚くべき成長を成し遂げている同社は、時価総額で現在9兆円を超え、2014年の11月下旬時点で、日本国内ではトヨタ自動車、三菱UFJフィナンシャル・グループに次いで3位です。売り上げ高は2013年度、6兆円を超えます。同社はなぜ、これほど成功できたのでしょうか。

離れる戦略とぬるま湯の恋愛の関係とは?

前回の記事で、企業と消費者の関係を「あなたに過去の姿でいてほしいと願う恋人」に例えました。新たな恋の発見には古い恋を手離すことが必要ですが、通常、これまでの恋人と別れることイコール、新しい恋の始まりとはなりません。失恋すれば空白期間が必ず生まれ、寂しくつらい思いをしなければならないのです。

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