"iPhone決済"、激突した「業界のカベ」の正体 問われる「消費者利益」のとらえ方

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カリフォルニア州ラグナビーチで10月27日に行われたカンファレンス「WSJ D Live conference」 でのティム・クックCEO。同カンファレンスには、アリババのジャック・マー会長も登場した。(写真:ロイター/アフロ)

「10月20日のサービス開始後72時間で100万件のクレジットカードが登録された」

10月27日夜に行われたWall Street Journalのイベント「WSJ.D Live」に登場したアップルのティム・クックCEOは、Apple Payの好調な滑り出しについて、具体的な数字に触れた。

米国では軒並み在庫切れ

この数字は、顧客の「試してみたい」という強い意向の表れととらえることができるかもしれない。ややテクニカルな話になるが、Apple Payのクレジットカード登録にこぎ着けることができるユーザーは、限られている。Apple Payに対応しているのは当時、iPhone 6とiPhone 6 Plusのみ。Touch IDを搭載しオンラインでのApple Payに対応しているiPad Air 2とiPad mini 3は、10月20日以降の発売で、この2つのデバイスを手に入れるのは、現状かなり難しい。筆者は米国に住んでいるが、米国ではこの2つの新機種の在庫は「絶望的」と言ってもいいほど見つからない。

唯一、iPhone 6の16GBスペースグレーという最も不人気な例外を除いては、オーダーから1カ月待ちという状況だ。16GBという容量、グレーという色、そして4.7 インチのディスプレイで2年間妥協しても良いという人を除いては、好みの仕様が入荷するまで待つ人が多い。

加えて、iPhone 6とiPhone 6 Plusを、最新のiOS 8.1にアップデートしなければならない。その上で、多くの人が利用しているiCloudアカウントへの登録と、米国内のApple Pay対応の発行銀行のクレジットカードもしくはデビットカードが必要になる。最後のカードの条件のせいで、日本のユーザーはApple Payに登録できない。

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