ユニクロ"残酷工場"で何が起きているのか 苛烈な労働環境を告発したNGO会見の詳報

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会見に臨んだSACOMのチャン氏(中央)とヒューマンライツ・ナウの伊藤事務局長(右)
 「地獄のような危険な労働環境」――。香港のNGOであるSACOMは1月15日、厚生労働省で記者会見を行い、カジュアル衣料店「ユニクロ」を展開するファーストリテイリングの製造を請け負う、中国企業2社の労働状況に関する報告書について説明した。
 48ページに上る「中国国内ユニクロ下請け工場における労働環境調査報告書」では、2社の基本給が最低賃金であることや時間外労働が月100時間を超えていることを指摘。さらに、30度以上にもなる高温や床に流れている排水、無雑作に置かれた化学薬品、粉塵が大量に舞うといった工場内の劣悪な労働環境を報告した。また、わずかな遅刻などで罰金を科すなど多くのルールを課していることも明らかになった。
 これに対し、ファーストリテイリングは同日、改善計画をリリースで発表。労働環境を早急に是正するとした。
 会見での報道陣との主なやり取りは以下のとおり。SACOMプロジェクトオフィサーのアレクサンドラ・チャン氏とNPO法人ヒューマンライツ・ナウ事務局長の伊藤和子氏が回答。特に回答者名は記していない。

SACOMへの回答はまだない

――ユニクロに対して、この報告書をどのように提示したのか。

昨年12月26日にメールと郵送で送り、今年の1月8日までにコメントがあれば出してほしいと伝えた。それを受けて、1月5日にユニクロからアプローチがあり、もしコメントがあれば出してほしいと(再度)伝えたところ、「特にない」ということだった。

だが、1月7日に「会見前に面談したい」と言ってきた。私たちは独立した団体であり、まず多くの人にこうした状況を知ってもらいたいということで、公表前や会見前には会えないという考えを伝えた。

――ユニクロが本日出した文書は回答になっているのか。

おそらく、あれが回答ということなのだろう。一般社会に対しては回答したと思う。だが、少なくともSACOMに対して英語での回答はない。

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