ユニクロ"残酷工場"で何が起きているのか 苛烈な労働環境を告発したNGO会見の詳報

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――今回の問題が工場の責任ではなく、なぜユニクロに責任があるのか。

もちろんユニクロだけでなく、工場にも問題はある。しかし国際的企業になったユニクロには責任がある。CSR(企業の社会的責任)だって自ら売りにしている。それに賛同した消費者が服を買っている。それなのにこうなっているのは許せない。生産すれば終わりではない。

これは労働環境だけの問題ではなく、出来高や納期の問題でもあり、1つの工場では対応できない。出来高に関しては賃金を上げて労働に見合うものにし、納期については労働者の権利を奪うものを設定してはいけない。国際的なファッションブランドを謳うのであれば、H&Mやアップルのように国際的なスタンダードにのっとって下請けの状況をきちんと公開すべきだ。

ユニクロも国際基準に従うべき

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重い生地を1人で運ぶ労働者(SACOM提供)

――ユニクロの責任について、もう少しクリアにしてほしい。

2012年に国連が発表した人権に関するガイドラインがある。これは企業にとって、その責務がサプライチェーンにさかのぼって人権侵害がないかどうか注意義務が課せられているものだ。

いったんビジネスにマイナスの影響が及ぶと、それに対して調査改善することが定められている。ユニクロも国際的企業であるので、当然それに従うべきだと考えている。

――日本企業がこうしたことをしている事例は昔からあったのか。それとも最近なのか。ブラック問題が浮上する中で関連しているのか。

低価格競争と海外進出は昔からあり、こうした問題はその中でどんどん進んでいった。先週はマクドナルドなどさまざまな食品の衛生問題が大きく取り上げられたが、その陰に低価格問題や労働者問題があると思う。

ユニクロと同じように、心が痛む企業はたくさんあるはずだ。今回の告発が、調査に入られる前に海外の下請け工場をきちんと指導する、いいきっかけになればいい。

冨岡 耕 東洋経済 記者

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とみおか こう / Ko Tomioka

重電・電機業界担当。早稲田大学理工学部卒。全国紙の新聞記者を経て東洋経済新報社入社。『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部などにも所属し、現在は編集局報道部。直近はトヨタを中心に自動車業界を担当していた。

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