ユニクロ"残酷工場"で何が起きているのか 苛烈な労働環境を告発したNGO会見の詳報

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高温のため、半裸で作業する労働者(SACOM提供)

――潜入した工場はどういう規模のものか。

1つは6000人ぐらい、もう1つは4000人ぐらいが働いている。これらの工場はベトナム、カンボジア、スリランカなどにも拠点があり、香港の株式市場に上場している。実績もだいぶ積んでいて、中国では両社ともリーディングカンパニーだ。

――どのように潜入したのか。

労働者として工場に入って働きながら調査した。調査員は3~4人だ。

マネジメントに問題の本質がある

――なぜユニクロに潜入調査することにしたのか。

ブラック企業だから選んだわけではない。ユニクロが国際企業として成長しているから選んだ。もう1つの理由はファストファッションだから。世界にはZARAやH&M、GAPなど、たくさんの競合ブランドある。日本の企業として展開するユニクロは商品の質だけでなく、労働環境に対してどのような対応をしているか調査した。

ユニクロは世界各国に展開している国際企業だ。利益をどんどん上げている。この機会にぜひ消費者だけでなく、労働者に対する責任も果たしてほしい。

――特に何が深刻だったのか。

危険な状況に置かれて働かされている労働者の実態がこの報告書で明らかになった。ただ、この問題は深刻であると同時に、解決もしやすい。(ファーストリテイリングの)要求を満たすために(製品を)供給しなければならないプレッシャーによって、(下請け側の)マネジメントがうまくいっていないだけであり、マネジメントを見直せば労働問題は解決する。

――中国のほかの工場も似たり寄ったりということはないのか。

中国にはたくさんの工場がある。ただ、衣料とエレクトロニクスの工場では環境が違う。衣料工場は出来高で賃金を決めていく。男性労働者にインタビューしたところ、出来高を上げるために長時間労働を強いられているという。その人は朝8時から夜10時まで働いて、700~800衣料品にアイロンをかけている。

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