マイナスの家計貯蓄率は何を意味するのか

家計所得は不足、賃上げが必要だ

(kinaco / Imasia)

家計貯蓄率がマイナスになった

昨年末に内閣府が発表した2013年度の「国民経済計算確報」では、家計貯蓄率がマイナス1.3%となった。比較可能な統計が出ている1955年以降では初のマイナスだ。

日本の家計貯蓄率は1970年代半ばには20%以上もあったが、2000年代に入る頃には5%程度に低下していた。1980年代には、米国の家計の低貯蓄率=過剰消費と日本の家計の高貯蓄率=需要不足が問題とされたが、近年では米国の方が日本よりも貯蓄率が高くなっていたことは、本欄の「高齢化はデフレではなく、インフレを招く」(2013年9月12日)で述べた通りだ。

蛇足ながら、グラフの貯蓄率が不連続な3本の線なのは、日本では長期的に連続した統計が作成されていないからで、その背景には統計作成部局の予算と人員の不足がある。

日本の家計貯蓄率が低下してきたのは、人口の高齢化によるところが大きい。日本の高齢者は年金をもらっても貯蓄してしまうという神話にも似た話が定着してしまっているが、全くの誤解だ。

職業生活から引退した高齢者は、年金に加えて、貯蓄を少しずつ取り崩すことによって生活しており、貯蓄率はかなりのマイナスだ。総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は1970年には7.1%に過ぎなかったが、2013年には25.1%に達している。人口の中で貯蓄を取り崩す高齢者の割合が高まることで、日本の家計貯蓄率は徐々に低下してきた。

筆者が2006年に出版した『貯蓄率ゼロ経済』(日本経済新聞社、11年日経ビジネスマン文庫より再刊)では、2020年頃には日本の家計貯蓄率がゼロになり日本経済は大きな変化を経験すると予想していたのだが、これをはるかに上回るスピードで家計貯蓄率が低下したことになる。

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