高齢化はデフレではなく、インフレを招く

人口構造の変化で消費は増えて貯蓄が減る

(撮影:尾形 文繁)

少子高齢化がさらに進み、人口減少が長期に続くことが予想される日本では、経済成長率は低くなるので賃金や物価の上昇は期待できないという見方は根強い。若年人口の減少は、自動車やテレビなどの需要減少につながっており、人口構造の高齢化が需要減少の原因で、デフレの原因となってきたと主張されることがある。

これに対しては、フリードマンが「インフレーションとは、いついかなる場合も貨幣的現象である」と言っているように、物価上昇率の問題を人口構造と切り離して考える立場から、強い批判がある。

さらに、人口構造が物価上昇に影響を与えるという立場からも、人口構造の高齢化は逆に物価上昇を加速させるという見方がある。日本経済がデフレに陥る以前は、高齢化のために労働力人口が減少し供給力が抑制されるので、経済全体の需要と供給の関係から、どちらかと言えばインフレを引き起こす懸念のほうが大きいと予測されていた。

家計貯蓄率の低下で需給は引き締まる

筆者は、人口構造の変化は国内市場の需給状況を大きく変えるのだから、貨幣量(マネーストック)ほど直接的ではないとしても、日本経済の需給を通じて長期的な物価上昇率に影響があると考えている。

その第1の理由は家計貯蓄率の低下である。

家計の所得額が同じであっても、貯蓄率が高ければ消費支出は少なくなる。その分だけ経済全体の需要は少なくなり、需給が緩むので物価は上昇しにくい。逆に貯蓄率が低下すれば、所得の中からより多くのおカネが支出されるようになるのだから、経済全体の需要が増えて需給は引き締まりインフレになりやすくなる。

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