箱根駅伝の"山上り"区間は短くするべきか? 「山の神」vs.”生け贄”たちの苛酷な戦い

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苛酷になった「山上り」5区の戦いは、今年はどうなる?(写真:アフロスポーツ)

毎年、数々のドラマが起こる箱根駅伝。近年、そのクライマックスは1月2日の12~13時台に見られることが多い。なぜなら、その時間帯にタスキは箱根山中で揺られているからだ。

標高約10mの小田原中継所から標高874mの国道1号線最高地点まで、一気に駆け上がる5区は往路のアンカー。今井正人(順天堂大)、柏原竜二(東洋大)のように「山の神」と呼ばれるような特別なクライマーが、想像を超える逆転劇を巻き起こしてきた。

今井は2007年大会で4分09秒差をひっくり返すと、柏原は2009年大会で4分58秒差を大逆転。1~4区までの選手がひとり1分ずつ遅れても、トップを奪える“計算”が成り立ってしまうほどの爆発力だ。“神”とたたえられた今井は3年間で20人抜きを演じて、柏原は無冠だった東洋大を3度の箱根Vに導いている。

90回を数える箱根駅伝の中で、「山の5区」がこれほどクローズアップされるようになったのは、近年のことだ。2006年大会に4区が21.0kmから18.5kmに短縮し、5区が20.9kmから23.4kmに延長(2015年大会から5区のコースが一部変更。再計測して23.2kmになる)。

5区が最長区間になり、箱根をめぐる戦略は大きく変わった。筆者は2006年の82回大会から「新世紀の戦い」が幕を開けたと思っている。

その新世紀の箱根で最重要となったのが、山上りの区間だ。では、「5区走者」が結果にどれぐらいの影響を及ぼしているのか。前回まで全9回のレースで、5区で区間賞を獲得した選手のタイム(区間2位とのタイム差)とその大学の総合順位(往路順位)をまとめたので見てほしい。

2006年大会 今井正人(順大) 1時間18分30秒(1分00秒) 総合4位(往路優勝)
2007年大会 今井正人(順大) 1時間18分05秒(2分34秒) 総合優勝(往路優勝)
2008年大会 駒野亮太(早大) 1時間18分12秒(1分26秒) 総合2位(往路優勝)
2009年大会 柏原竜二(東洋大) 1時間17分18秒(2分38秒) 総合優勝(往路優勝)
2010年大会 柏原竜二(東洋大) 1時間17分08秒(4分08秒) 総合優勝(往路優勝)
2011年大会 柏原竜二(東洋大) 1時間17分53秒(1分59秒) 総合2位(往路優勝)
2012年大会 柏原竜二(東洋大) 1時間16分39秒(2分55秒) 総合優勝(往路優勝)
2013年大会 服部翔大(日体大) 1時間20分35秒(1分57秒) 総合優勝(往路優勝)
2014年大会 設楽啓太(東洋大) 1時間19分16秒(1秒) 総合優勝(往路優勝)

9大会中、5区を制したチームが6回も総合優勝に輝いている(優勝確率は約67%)。

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