9月に作る!? 切ない「Xmasケーキ」の裏側 おいしいケーキを選ぶ簡単なコツ、教えます

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閉店間際のショーケースにケーキがたくさん並んでいるわけ

河岸:そもそも、チェーンのケーキ屋には、閉店間際にもかかわらず、たくさんケーキが並んでいる店が多いとは思わない?

N君:たしかに、個人店みたいに、ショーケースが品薄になったり、割引販売するのを見かけることは少ないですね。閉店後に売れ残ったケーキはどうするんですか?

河岸:それは店の考え方次第。当日売れ残った分はすべて廃棄してしまう店もあれば、翌日の何時までと決めて売っている店もある。とにかく売れるまで売るという店もある。

N君:えっ? 売れるまで売る? そもそもケーキの賞味期限はどうなっているんですか? クリスマスケーキは9月から作り始めるところもあるようですが、いくら冷凍するといっても3カ月は長くないですか?

河岸:それがまたミソで、「凍結期間は賞味期限をカウントしなくていい」ってことになっているの。つまり、冷凍庫から出して解凍した時点が「製造日」。そこから賞味期限を設定すればいいわけ。ケーキの場合、賞味(消費)期限は、解凍した日(製造日)から4日後ぐらいにするところが多いかな。

N君:それは前々回で解説した、「解凍した日」「パックした日」「ラベルを貼った日」が「製造日」になって、そこから賞味期限が決まるのと同じ理屈ですね。必要な分だけ解凍して売ればムダがない、と。「冷凍ケーキ」ということは、日ごろから「ホイップクリーム」を使っている店が多いんですか?

河岸:そのとおり。だから、生クリーム特有のコクや味わいがないものが多いよね。ただ、スポンジとクリームはだませたとしても、フルーツは古くなるとバレる。だから翌日、飾りのイチゴだけ取り替えて売る店もある。なかには「イチゴは1回まで取り替えてもいい」という社内ルールを設けているメーカーもあるよ。

N君:とんでもないルールですね(苦笑)。

ケーキと漬け物を一緒に冷蔵庫で保管?

河岸:「冷凍ケーキ」をよく目にするといえば、回転寿司もあるよね。あそこで回っているものの大半は、「冷凍ケーキ」だと思ってまず間違いない。

N君:確かに、回転寿司の店舗でケーキを作っているとは思えないですよね……。

河岸:あと、スーパーで実際に目撃したことがあるのは、売れ残りのケーキを保存する冷蔵庫に、漬け物が一緒に入っていたケース。スポンジが漬け物の匂いを吸い込んじゃって臭くなっていた(笑)。

N君:漬け物臭いケーキですか……。全力で拒否ですね(笑)。

河岸:「お客さんに対しておいしものを提供しよう」としているのか、それとも「儲かればいい」と思っているのか、そういうところに店の姿勢が出るよね。

N君:もちろん冷凍技術があるからこそ、夜遅くにも、注文が殺到するクリスマスにも、ケーキが食べられるというメリットはあるわけですが……。

河岸:そのとおり。だから「冷凍ケーキ」を販売すること自体が悪いと言っているわけじゃない。問題は「黙って売っている」こと。だって、9月に作って3カ月冷凍したクリスマスケーキを食べているとは思わないでしょ?

N君:想像もしないですよ。子どもはクリスマスケーキを楽しみにしてるわけじゃないですか。それが3カ月も前に作ったものというのは、問題はないにしても、違和感はありますよね。

河岸:本来なら「これは○月○日に製造したものを凍結し、○月○日に解凍しました」と書くべきだよね。法律上は書かなくてもいいけど、お客さんへの情報提供という意味でそれが必要だと思う。

N君:ケーキではありませんが、スーパーによっては「製造日」と「解凍日」の両方を明記しているところもあるので、それは誠実な店ですよね。

河岸:そうだね。甘いものが好きじゃない人でも、本当においしいケーキを食べたら考えが変わるはずだよ。世のお父さんたちは年に1度、わざわざおいしくない「冷凍ケーキ」を食べさせられて、それで「やっぱりケーキなんか年に1度、食べれば十分だな」と思ってしまう。かわいそうなんだよ。

N君:僕、その「かわいそうな人」の典型じゃないですか(泣)。でも、せっかくのクリスマスくらい、やっぱりおいしいケーキが食べたいですよ。「おいしいクリスマスケーキ」を選ぶスキルはあるんですか?

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