9月に作る!? 切ない「Xmasケーキ」の裏側 おいしいケーキを選ぶ簡単なコツ、教えます
ケーキは12月、チョコは2月が突出して売れる
河岸:たとえば、下のグラフを見てごらん。これを見ると、ケーキの年間を通しての売行きがよくわかる。
N君:すごい! 12月が突出して多いんですね。
河岸:いちばんの理由はクリスマスケーキがあるから。このグラフは月ごとの比較だから、日にち単位でいえば、クリスマス前の数日は、いつもの何倍もケーキが売れる。チョコレートも同じ構造で、バレンタインがある2月の売行きが突出しているよね。
N君:なるほど、「クリスマス特需」「バレンタイン特需」というくらい、ケーキ屋さんやお菓子メーカーにとっては「稼ぎ時」なんですね。でも、それの何が問題なんですか……?
需要は数倍なのに、作れるケーキ数はほぼ同じ
河岸:大手チェーンや有名店ほど、クリスマス前はケーキの注文が殺到するわけ。だけど問題は、店や工場で働く人の数も生産設備もほぼ同じで、作れるケーキの数にはおのずと限界があるということ。クリスマスのときだけ、たくさん人を雇ったり、厨房や工場を借りたりすると思う?
N君:うーん……、ケーキを店先で「売る」アルバイトは増えそうですが、「作る」のはバイトを雇っても簡単にはできませんよね。設備や厨房だって同じだし……。クリスマス前は、スタッフ総出で頑張るんじゃないですか?
河岸:確かに街の小さなケーキ屋さんでは、家族総出で徹夜でケーキを作る店もあるよね。でも、それにしたって、スポンジを焼くオーブンも、生クリームやできたケーキをしまっておく冷蔵庫だって同じなわけだから、作れる数にはどうしても限界がある。工場も同じで、イブの前日に24時間態勢で作ったとしても、需要に見合うだけの数は作れない。
N君:なるほど……。じゃあ、どうするんですか?
河岸:答えは簡単、「作り置き」するの。3カ月前の9月、10月ごろから作っておいて、ケーキを冷凍しておく。
N君:9月から!? ケーキは生ものじゃないですか。冷凍したら、おいしくなくなるでしょう。
河岸:そのとおり。最近は凍結技術が進化しているけど、やっぱり一度冷凍してしまうと、味がてきめんに落ちてしまう。もちろん作りたてには勝てない。
N君:じゃあ、僕たちは「味が落ちた冷凍クリスマスケーキ」を食べているってことですか? 定番のクリスマスケーキにはイチゴが載っていますか、あれごと冷凍するんですか?
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