NTT社長、「ドコモにいろいろ言いたくなる」 稼ぎ頭が変調、どうする巨人NTT(上)

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NTTドコモについて「期待は大きく、責任が重いことも知ってもらいたい」と話したNTTの鵜浦社長
近年、NTT(日本電信電話)は持ち株会社やNTTデータ、NTTコミュニケーションズを中心に海外企業の買収を進めてきた。一方、国内では収益柱のNTTドコモが変調をきたしている。
音声定額を含む新料金プランを6月に投入したところ、予想以上に加入者が多かったうえ、最も低額なデータ通信プランに人気が集中したことで収益にはマイナスに働き、通期の営業利益予想は通期で1200億円の下方修正となった。
そんな中、15年初めには、NTT東日本、西日本が光回線サービス「フレッツ光」を卸売りし、パートナーが自社のサービスとして活用できる「光コラボ」を開始する。ドコモもこの光コラボを利用し、2月に携帯と光回線のセット割引「ドコモ光」を開始する予定だ。
稼ぎ頭のドコモが不調のままではグループの成長戦略も描けない。光コラボで国内事業をどのようにテコ入れするのか。これまでドコモについて多くを語らなかったNTT鵜浦博夫社長が口を開いた。

 

――ドコモが6月に投入した新料金プランの評価は?

成熟した市場における戦略として評価していた。つまり、短期で他社に乗り換えるユーザーではなく、継続的に使っていただけるユーザーを大切にするプランで戦うということだ。これは私の思いでもあった。販促コストをかけてユーザーを獲得する従来型の競争において、ドコモが負け組だったのは事実だ。

そのまま競争していたのではユーザーは増えないし、次のチャンスもなかった。そこで、新料金プランや光コラボを導入して、まったく別のステージの競争にシフトすることにした。そうするしかない、というのがドコモの実情だった。

 新しい料金プランは想定以上にユーザーに喜んでいただいた。あっという間に加入数が増えて驚いた。音声通話の値下げの影響があるため、収益面は厳しいが、これは「これからもずっとドコモを使っていく」と意思表示していただいたことに等しい。

今年度の収益低下はマネジメントの責任だが、新料金プランは始めてまだ半年、光コラボもまだスタートしていない。新しい競争のステージに移行するためにはやむを得ない過程だったと思っている。

ハンデがあるという言い訳はできない

――これまで、鵜浦社長はドコモの経営に積極的な発言を避けてきたが、今回は11月の中間決算会見などでもかなり強い口調で言及した。

ドコモにしっかりしてもらわないかんという思いですよ。光コラボでは、ドコモがグループの顔になるわけだ。当然、NTTコミュニケーションズもやるが、コンシューマ向けの顔はドコモだ。期待は大きく、責任が重いことも知ってもらいたい。

セット割引ばかりが注目されているが、それだけではみじめだ。割引はワンセットにすぎず、新しいサービスを実現していこうというものだ。

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