ドコモ「下方修正」にNTT鵜浦社長が吠えた

好調新料金プランの”副作用”は大きかった

NTTの鵜浦社長は苦戦するドコモを叱咤した(写真は5月の決算発表時)

NTTの鵜浦博夫社長はこれまで、長年苦戦が続くNTTドコモについて多くを語ってこなかった。「ユーザー流出に歯止めが効かない状況をどう思っているのか」「アップルのiPhoneを導入すべきでないのか」といった記者やアナリストの指摘に対し、苦渋の表情を浮かべつつも、決まって「私の口から言うべきことではない。ドコモが自身で決めること」などと回答してきた。しかし、今回ばかりは、我慢がならなかったようだ。

11月7日の決算説明会の席上、鵜浦社長はこうまくし立てた。「ドコモの復活、ナンバー1を目指すことが新たな使命だ。共同責任だと認識している」「ドコモが今回示した中期計画は、私にとっては最低限」「大幅なコスト見直しにチャレンジさせる。ドコモも(吉澤和弘)副社長主導のプロジェクトが動いている。私が副社長に直接リポートをさせる」などと止まらなかった。

それもそのはず。稼ぎ頭であるドコモの不調が、グループの成長戦略に悪影響を及ぼしているからだ。今4~9月はiPhoneの導入効果などで契約純増数は119万件(前年同期23万件)に改善し、他社への流出数も毎月約3万件(同13万件)に収まった。だが、6月に投入した音声定額を含む「新料金プラン」が思わぬ誤算に。9月に900万件を突破するなど、あまりに加入ペースが早かったため、影響を吸収できず、営業益は3995億円と同15%の減益に沈んだ。通期の営業益予想も6300億円と、1200億円もの下方修正となった。ドコモの加藤薰社長は「大変申し訳ない。重く受け止めている」などと反省の弁を述べた。

これを受けて、NTTも今4~9月期の営業益が同9.5%減の5909億円となり、通期の業績予想も1兆0950億円へと1200億円下方修正。この減額分はドコモの減額と同じ数値だ。持ち株会社として、15年度までに11年度比でEPS(1株あたり当期純利益)を60%以上成長させるとの中期計画を掲げていたが、「達成はかなり厳しい状況になっている」(鵜浦社長)。アナリストからは来期以降の成長を危ぶむ声が相次いだ。

誤算はデータ通信料の値下げ

なぜここまで多額の下方修正となったのか。その理由は、音声定額プランではなく、データ通信プランにある。ドコモが6月に投入した新料金プランは、月額2700円の音声定額プランとデータ通信プランを組み合わせる仕組みだ。最も安いデータ通信プランは、月2ギガバイト利用できるもので、月額3500円。これにスマホのネット接続料300円が加わり、合計6500円から利用できる。

ただし、ドコモは従来、「Xi(クロッシィ)パケ・ホーダイ ライト」(データ量3ギガ、月額4700円)を提供し、多くのユーザーが加入していた。このユーザーが新プランに大挙して押し寄せたのだ。移行したユーザーのデータ通信料は4700円から3500円に下落。音声通話料も定額になった分が下落し、全体の通信料収入が予想比で大幅なマイナスとなった。「ユーザーにとっていいプランという評価の結果であり、ドコモにとっても長期的に収益が安定するが、ここまで早く移行するとは想定できなかった」(ドコモの佐藤啓孝CFO)。

新料金プランによるマイナス影響額は400億円だった。うち、音声通話料が80億円、データ通信料が260億円、音声通話の利用も増えたため、他社に支払う回線使用料が60億円増加した。こうした影響は下期も続くため、通期で1000億円のマイナス要因となる。ドコモは新料金プランの影響額を、年間で200億円のプラスと試算していたため、差額の1200億円が下方修正されることになった。

ドコモ以外のグループ企業はおおむね計画線の推移となっている。NTTコミュニケーションズ(コム)は音声伝送収入の減少などで減益見込みだが、NTT東日本・西日本はフレッツ光の代理店手数料の見直しなど、徹底したコスト削減で増益とする計画だ。NTTデータも昨年300億円に及んだ不採算案件が減少するため、今期は持ち直している。ただ、各社が計画以上に利益を積み上げたとしても、ドコモのマイナス影響をカバーするのは困難である。

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