11月26日が政権の分岐点

11月26日が政権の分岐点

塩田潮

臨時国会は11月26日、最大の山場を迎えた。

野党は補正予算案の参議院での採決に応じるが、直後に仙谷由人官房長官と馬淵澄夫国交相の問責決議案が参議院に提出され、採決される。補正予算案は否決となるが、憲法の規定に基づき、衆議院との両院協議会を経て成立する。一方、両大臣の問責決議案は、公明党も賛成する方針なので、可決となる見込みだ。

菅政権は衆参ねじれ後の今国会を「ねじれ乗り切りの試験的国会」と位置づけ、「熟議」による与野党協議方式の実験に挑んだ。協議を積み重ねながら「部分連合」や「新連立」の可能性を探るのが狙いであった。

だが、狙いどおりには進まない。自民党はねじれを背景に民主党政権を追い詰め、早期の解散・総選挙に持ち込んで政権奪還を図るという戦略で臨んだ。「熟議」も「部分連合」も「新連立」も相手にせずという姿勢だ。公明党との連携重視しか道がない菅首相は、補正予算案の早期成立を望む公明党の意を酌んで、柳田前法相を問責決議案提出前に事実上、更迭し、予算案成立を最優先にした。

問題は仙谷、馬淵の両大臣の問責決議案可決後の舵取りだ。菅首相が更迭しなければ、会期末の12月3日まで国会は空転し、与野党が一致する法案もすべて未成立に終わる。「試験的国会」に続く本番の通常国会も開幕から大荒れとなる。

だが、2人の更迭、とくに仙谷氏は政権の大黒柱だけに、辞任は菅首相の求心力低下と政権の弱体化を加速させる。

公明党は当面、自民党との共闘維持と民主党政権との連携の2つを使い分ける作戦で臨むと見られるが、菅首相は公明党に翻弄されながら「部分連合」や「新連立」を目指すのか、それとも口癖の「一点突破・全面展開」に賭けて解散・総選挙に突き進むのか、来週にも選択を迫られそうだ。

その局面で、菅首相と仙谷官房長官が背を向け合うことになると予測する向きもある。11月26日は政権の分岐点となる可能性が大きいが、菅首相が戦略家としての資質を備えているかどうかが試される場面である。

塩田潮(しおた・うしお)ノンフィクション作家・評論家。1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数

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