機密情報、「退職後」も守秘義務を負う? 「要人警備マニュアル」流出の原因は警官OB

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部外秘の「要人警備マニュアル」など、京都府警の執務上の資料約50点がネットオークションで売買されていたことが10月初めに明らかになり、物議をかもした。京都府警は、資料を流出させたとして、地方公務員法(守秘義務)違反の疑いで、元警察官の男性(51)を書類送検した。

朝日新聞によると、男性は在職中に手に入れた資料を、退職した後、知人に譲渡した。その後、知人がネットオークションに出品した。男性は「競売に出されるとは思わなかった」と話しているという。府警は「すべて回収し、警察業務への影響はない」としているが、悪意ある人物の手に渡っていたらと思うと、ゾッとする話だ。

答えは「地方公務員法」に書いてある

当記事は弁護士ドットコムニュース(運営:弁護士ドットコム)の提供記事です

現職の警察官が、捜査資料の取り扱いに注意を求められるのは当然だが、その義務はいつまであるのだろうか。泉田健司弁護士に聞いた。

「まず、法律の規定を確認しましょう。地方公務員法34条は『職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない』と規定しており、地方公務員の守秘義務を定めています。

そして続けて、『その職を退いた後も、また、同様とする』と規定しています。つまり、退職後にも守秘義務を課しているわけです」

公務員には、在職中だけでなく、退職後も守秘義務があるわけだ。

「府警の警察官は地方公務員ですから、この法律の適用を受けます。というわけで、法律上、警察官は『退職後』も守秘義務を負っているということになります」

なぜ、こうした守秘義務が課せられているのだろうか。

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