機密情報、「退職後」も守秘義務を負う? 「要人警備マニュアル」流出の原因は警官OB

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「警察官は職業柄、個人のプライバシーに触れる機会が多い職業です。また、今回の要人警備マニュアルのように、公益にかかわる秘密を知ることもあります。

こうした個人や公益に関する情報を保護するために守秘義務は課せられています。警察官が退職してからも、同様に保護されなければならないのです」

具体的には、どういうことだろうか?

「たとえば、警察官にストーカー被害を相談した人がいるとします。

もし、相談を受けた警察官が、退職した後に、相談内容をぺらぺらしゃべる可能性があるなら、市民は不安で相談などできなくなります。

また、今回のように、要人警備マニュアルということになると、その内容が悪用されるリスクがあります」

資料を持ち出させない工夫が必要

「今回の件で私が危惧するのは、そういった資料を持ち出せてしまう警察の現状です。

『警察業務への影響はない。』とのことですが、簡単にコピーがとれる時代です。心もとないと言わざるを得ません。

これは、一般企業でもいえることですが、職員にそういった資料を持ち出させない工夫が必要でしょう」

このように、泉田弁護士は危機感を表明していた。

泉田 健司(いずた・けんじ)弁護士
大阪弁護士会所属。大阪府堺市で事務所を構える。交通事故、離婚、相続、企業法務等を中心に地域一番の正統派事務所を目指す。趣味は将棋、カープ、そしてドラえもん。
事務所名:泉田法律事務所

 

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