吉野家「有力メニュー」再開、未来はどっちだ! 昨年は発売初年度ながら大貢献
今年も同じような存在感を発揮できるのか――。牛丼チェーン大手の「吉野家」は10月29日から「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」を販売する。これらは、安部修仁前社長が「独自の商品を提供したい」との思いから商品化に至り、昨年12月に発売したもの。今年5月でいったん販売を休止していたが、気温が下がり始める秋口に照準を定め、再開の準備を進めてきた。
鍋メニューは発売初年度から好調だった。「鰻丼」や「ロース豚丼」など吉野家の一般的な期間限定メニューの倍以上である1400万食を販売。単価も500円台とメニューの中では高いことから、業績にも大きく寄与した。9月に事業会社、吉野家のトップに就いた河村泰貴社長は、「昨年の商品化から一段と磨き上げ、おいしく改良できたと自負している」と強調した。
昨年の価格から40円値上げ
変化の一つとして挙げられるのが肉質の向上だ。吉野家では今年4月から品質を改良した新たな牛丼を提供している。冷蔵までの熟成行程を長くしてうまみを増やすため、従来、仕入れた牛肉の解凍時間は1日程度だったものを2週間に延長。再開する鍋メニューでもこの肉を使う。
価格は「牛すき鍋膳」「牛チゲ鍋膳」ともに並盛で630円(税込み)と、前回の販売終了した5月末時点での価格は590円だったことから、40円の値上げだ。
価格改定の背景には、肉質の向上に加え、牛肉価格の高騰による部分も大きい。特に吉野家が使用する米国産牛肉は、中国などの需要が膨らんでいる。「昨年の鍋投入時と比較して、肉の仕入れ値は2倍近い。だが、商品のクオリティを落とすわけにはいかない」(河村社長)と言うように、吉野家としても今回の価格設定には相当頭を悩ませたとみられる。
有力メニューの再開に加えて、今回のもう一つのポイントは、事業会社の吉野家社長として河村氏が初めて会見に臨んだことだった。
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