吉野家「有力メニュー」再開、未来はどっちだ! 昨年は発売初年度ながら大貢献

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吉野家ホールディングスのトップ交代で2012年6月に会見した河村氏と安部氏(撮影:ヒダキトモコ)

2012年、当時43歳だった河村氏は「(社長として吉野家グループの)はなまるうどんを立て直したこと、明確なビジョンを描ける経営者であること」(安部氏)といった理由から、吉野家ホールディングスの社長に選ばれた。ただ、当時は中期経営計画の途中だったため、「ここで経営を離れるわけにはいかない」として、事業会社の吉野家トップは引き続き安部氏が務めていた。

安部氏が今年8月末に退任し、持株会社に加えて事業会社のトップも河村氏になった。今後の展開について”河村カラー”を打ち出すかとも思われたが、10月22日の会見では「これからも商品を磨き続ける。これは当グループ共通のDNAでもあるが、お客様に喜んでいただく商品を提供していきたい」と述べるにとどまった。

河村社長主導の新商品投入は?

鍋メニューが再開するのは10月末から。昨年は12月初旬に投入したことから、11月の既存店の月次売上高の前年超えは濃厚だ。ただ、12月以降は前年に既存店が2ケタ台の伸びを記録しており、ハードルが高い。肉質を向上させ、値段を上げた新たな鍋メニューがどこまで健闘するかが、今下期(14年9月~15年2月)を占うひとつのポイントになりそうだ。

これから「河村カラー」が出てくるのか?(撮影:尾形文繁)

そして気になるのがバトンを引き継いだ河村社長の手腕だ。安部氏は以前、河村氏についてこう話していた。「彼に対して安心できるのは客観的だから。経営分析は誰だってできる。でも彼は、自身の経営を客観的な数字でみて、自分でやり始めたことの是非をきちんと認識したうえで、修正できる」と話していた。

今回の鍋、そして牛肉の熟成度向上については、安部時代に決められたこと。今後、河村体制の下で打ち出す新メニューがどのタイミングで出てくるのか注目される。河村氏が事業会社の舵取りを行うのは、はなまるうどん以来、2年ぶり。安部氏の言う「客観的な視点」に基づいた経営手腕が改めて試されようとしている。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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