すき家、「ワンオペ解消」の目算が外れたワケ なぜ深夜営業の大量休止に追いこまれたのか
小川賢太郎会長兼社長の目算は大きく外れてしまった。ゼンショーホールディングス(HD)は10月1日から、全国で展開する牛丼チェーン「すき家」の6割にあたる1167店で深夜営業(主に午前0時~5時)を休止することになった。
労働環境の改善を図るため、同社が設置した第三者委員会は、7月末に公表した報告書の中で、接客から清掃、調理などすべて一人でこなす一人勤務体制(ワンオペ)を「過酷なもの」と指摘。「深夜時間帯における一人勤務体制の解消を早急に実現すべき」と提言していた。
8月の”公約”を実行
第三者委の提言を受けて、ゼンショーHDは8月6日、深夜の複数勤務体制が整わない店舗は10月1日以降、深夜時間帯を中心に営業休止する方針を打ち出した。同時点で深夜帯のワンオペ店舗は940店。この店舗すべてで人手が集まらず10月以降に深夜営業を休止するというワーストシナリオに基づいて、2015年3月期の業績見通しを下方修正した。ただ、小川会長は会見で「地域採用と近隣店舗のやりくりでまずは半分。460~470店にはすぐに(複数勤務体制に)持っていけるのではないか」とも話していた。
ところが、10月までにワンオペを解消できたのは110店強。8月に打ち出した方針に基づき、ワンオペを解消できなかった800以上の店舗が新たに深夜営業を休止したことで、営業休止店舗は1000以上に拡大。すき家の総店舗数は1981店だが、24時間営業体制の店舗は589店まで減少した(10月1日時点)。
小川会長の目算が大きく狂った理由は複数ある。一つは深夜帯に働く人員が集まらなかったことだ。第三者委の調査報告書が公表された7月末以降、すき家のアルバイト採用人数は、ほぼ平年並みに推移し、離職人数も同様だった。ただ、採用の内訳をみると、「圧倒的に昼に偏り、深夜帯の人員確保は厳しかった」(ゼンショーHD)という。
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