稀代の悪役「ハンニバル」がドラマで復活!

これぞ元祖・犯罪プロファイリングの真骨頂

実際のところ、『HANNIBAL/ハンニバル』は万人受けを狙う地上波の番組向きではなく、明らかにケーブル局向きの作品で、視聴者数にしても全米ナンバーワンというような数字を記録していはいない。だが、目の肥えた視聴者を引き付けるには十分で、また、タイトルと題材の知名度により、ワールドワイドのセールスでも十分にペイするだけの力を備えたシリーズとなっている。

リメイクでもリブートでもない、リイマジニング

ところで、アメリカのドラマも題材が枯渇していることは、映画界や日本の映画・TV事情にも共通する問題だ。過去作や他国の人気シリーズのリメイクや大ヒット映画のTVドラマ化は、シーズンごとに企画も含めて複数登場するが、なかなか成功する作品は少ない。

そうした中で、近年、人気なのが国際的に知名度の高い映画を題材に、その世界観を共有しながら新たな物語を構築していくスタイルだ。概して失敗の多いリメイクでもなく、映画『スパイダーマン』のように同じ題材で何度も稼ごうとする、映画界で流行のリブート(再起動)でもない。原作や映画の“リイマジニング”である。

成功例としては、『サイコ』の犯人ノーマン・ベイツと骸骨になっていた母ノーマの若い頃を描いた『Bates Motel(原題)』(2013年~)がある。時代設定は現代で、よく知られる映画に符号するエピソードやキャラクターが登場するが、あくまでもこれはこれ。同じく、実話をベースにした映画『ファーゴ』(1996年)の世界観はそっくりそのままに、起きる事件は映画とは違った展開となるミニ・シリーズ『ファーゴ』(2014年~)は、今年のエミー賞を受賞した。

いずれも、知名度は抜群で広く一般の興味を引きつつ、映画を見た人々がニヤリとするようなエピソードを散りばめながら、まったく新しいドラマとして見せているところが技アリで興味深い。

ちなみに、本作のシーズン2の各エピソードのタイトルは、日本の懐石料理から取られている。『ハンニバル・ライジング』でルーツが描かれているハンニバルの日本文化に精通するうんちくや、『ハンニバル』に登場した彼に顔の皮を剥がされた被害者の富豪メイソン・ヴァージャーが登場するのも、お楽しみである。ドラマは順次『レッド・ドラゴン』からその先のシリーズへと続く予定だというが、原作や映画に目配せをしながら、ドラマはドラマで独自の展開になるのだろう。

原作や映画にあれやこれやと思いを馳せ、想像を膨らませながら、秋の夜長にじっくりと楽しみたい。これぞまさしく「大人の海外ドラマ」である。

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インテル中興の祖、アンディ・グローブ。数々の英断で、プロセッサー半導体市場で無双の企業を作り上げた。グローブの愛弟子である、インテル全盛期のトップが語る技術経営の神髄。