将来性のある企業に対して、投資家がリスクをとって株式投資し、投資先の企業価値を高めた上で、株式を売却してリターンを得る。エクイティファイナンスは起業家と投資家が、企業を成長させるという目的を共有し、資金とともに、投資家の経営ノウハウ提供や経営人材・取引先の紹介など人的ネットワークの供給が期待できる資金調達手段です。
リスクのある新規事業分野で成長するベンチャーを育成するためには不可欠と言えます。しかし、日本の場合、金融と言えば銀行の融資が主流であり、ベンチャーキャピタル等によるエクイティファイナンスは米国の1/15程度の規模です。本稿では、政府によるエクイティファイナンスの支援に関して、産業革新機構と中小企業基盤整備機構の事業を説明します。
産業革新機構の役割とは?
産業革新機構は、“オープンイノベーション”を推進し、次世代の国富を担う産業を創出するために2009年に設立されました。資本金は約3000億円で、そのうち2860億円が政府出資、140億円がトヨタ自動車、パナソニック、3メガバンクをはじめとする民間出資です。加えて、投資のための政府保証枠を1兆8000億円有しており、投資資金の規模は2兆円を超えます。
職員は民間主体で、ベンチャーキャピタル、コンサルタント、事業会社、金融機関等から専門性の高い人材を集めています。取締役会など通常の会社のガバナンスに加えて、民間有識者から成る産業革新委員会が投資決定を行い、15年間の存続期間で、中長期の視野での投資を行っています。
投資の中では、ルネサスエレクトロニクスやジャパンディスプレイなど、大企業を巻き込んだ業界再編の投資が注目されてきたのですが、昨年以降はベンチャーへの投資も格段に伸びてきています。
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