次世代のリーダー候補が「失敗の教訓」を学ぶ時間は残されていない

次世代のリーダー候補が「失敗の教訓」を学ぶ時間は残されていない

塩田潮

 ついに小沢前幹事長(O)と菅首相(K)の「OK牧場の決闘」となった。

 「小鳩迷走」に続く「OK対決」を見せられて、改めて強く感じるのは、政権獲得前に盛んに指摘された民主党の政権担当能力という問題である。党全体の能力もさることながら、鳩山前首相を含めたトップ3氏の政権担当の条件と能力の欠如がこの1年間で露呈したからだ。

 野党時代、3氏は懸命に国民の輿望を集め、追撃態勢を整え、自民党を追い詰めていった。トロイカ体制がうまく機能したが、実際は3氏とも長所と弱点があった。

 理想家肌でサービス精神旺盛な鳩山氏は、将来を雄弁に語り、国民の期待を集める才があったが、舌禍などで足元の石につまずくタイプだった。問題処理能力や実務能力が高い菅氏は、足元の石はうまく避けるが、遠くを展望する資質に欠け、少し先の落とし穴にはまりやすい。慎重かつ緻密で、いざとなれば辣腕を発揮する小沢氏は、足元も遠方も視野に入れて対応する手腕を備えているが、閉鎖的なキャラクターがマイナス材料で、説明能力に欠ける。

 政権獲得前は3氏がプラス面を発揮し、マイナス面を他の2人が補い合う形だったが、獲得後は首相兼党首が1人で全部の能力と資質を要求される。

 鳩山氏は足元の石で転倒し、菅首相は遠くが見えず、八方塞がりとなった。もしこの後に小沢氏が登場しても、野党やマスコミの追及の嵐にエネルギーを取られ、何もできずに早期崩壊となる危険性もある。

 そうなると、3氏は政権担当にどんな資質と能力が必要かを逆説的に次世代の政治家たちに示し、それらを具備した本物のリーダーが登場するまでの「つなぎ役」で終わるかもしれない。

 問題は民主党政権の手持ち時間が残り3年しかない点だ。「つなぎ役」だけで数年を費やしたら、党全体が政権担当能力を備えないまま、野党に転落しかねない。

 次世代のリーダー候補が「小鳩」「OK牧場」と続く田舎芝居から「失敗の教訓」として何を学び取るか。時間が乏しいだけに、お手並み拝見などと悠長なことは言っていられない。
(写真:尾形文繁)
塩田潮(しおた・うしお)
ノンフィクション作家・評論家。
1946(昭和21)年、高知県生まれ。慶応義塾大学法学部政治学科を卒業。
処女作『霞が関が震えた日』で第5回講談社ノンフィクション賞を受賞。著書は他に『大いなる影法師-代議士秘書の野望と挫折』『「昭和の教祖」安岡正篤の真実』『日本国憲法をつくった男-宰相幣原喜重郎』『「昭和の怪物」岸信介の真実』『金融崩壊-昭和経済恐慌からのメッセージ』『郵政最終戦争』『田中角栄失脚』『出処進退の研究-政治家の本質は退き際に表れる』『安倍晋三の力量』『昭和30年代-「奇跡」と呼ばれた時代の開拓者たち』『危機の政権』など多数
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