「大銀行のトップ」になるのだけは勘弁

松本大 マネックス証券代表取締役社長CEOの好き嫌い(下)

本連載でもおなじみの「好き嫌い」対談の経営者編、3万部突破で好評発売中。永守重信氏、柳井正氏、大前研一氏など、日本を代表する経営者14人から聞き出す「好き嫌い」。今までに聞けなかったエピソードが満載。電子書籍もあります。
 本格的な評伝や自身による回想録を別にすれば、経営者の好き嫌いは、外部からはなかなかわからない。その人の「好き嫌い」に焦点を絞って経営者の方々と話をしてみようというのが、この対談の趣旨である。この企画の背後にある期待は3つある。
 第1に、「好きこそ物の上手なれ」。優れた経営者やリーダーは、何ゆえ成果を出しているのか。いろいろな理由があるだろうが、その中核には「自分が好きなことをやっている」もしくは「自分が好きなやり方でやっている」ということがあるはずだ。これが、多くの経営者を観察してきた僕の私見である。
 第2に、戦略における直観の重要性である。優れた経営者を見ていると、重要な戦略的意思決定ほど、理屈では割り切れない直観に根差していることが実に多い。直観は「センス」と言ってもよい。ある人にはあるが、ない人にはまるでない。
 第3に、これは僕の個人的な考えなのだが、好き嫌いについて人の話を聞くのは単純に面白いということがある。人と話して面白いということは、多くの場合、その人の好き嫌いとかかわっているものだ。 こうした好き嫌いの対話を通じて、戦略や経営を考えるときに避けて通れない直観とその源泉に迫ってみたい。
 今回は、本オンラインなどの連載を基に14人の経営者との対談をまとめ、2014年6月に刊行した書籍『「好き嫌い」と経営』の中から、テレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」でキャスターを務める大江麻理子アナとの結婚でも話題となった、マネックス証券代表取締役社長CEO松本大さんとの対談を紹介したい。(取材日:2012年2月9日)

※過去の対談はこちら:

(上)「大江アナのお相手、松本大氏のホンネ対談」

「ゼロから始めて高回転」が好き

楠木:好き嫌いで言うと、東大には松本さんが嫌いなタイプが多いように思います。特に就職先についての考え方が「嫌だな」という人が、周囲には多くありませんでしたか?

松本:確かに就職先の選択は、僕とは違いました。しかし、考え方は違っても大学時代の仲間とはいまだに仲が良くて、毎年1回、30人ぐらいで集まります。確かに、昔はちょっとつまんないという気持ちはありました。入学前、僕は東大の法学部って不遜なやつが集まっていると思っていたんですよ。鼻持ちならないやつがいて楽しいかな、と思って行ったのに、案外、みんな鼻持ちなるいいやつで(笑)。そこはつまらなかったですね。

楠木:松本さんは外資系の証券会社という、日本の体制側でない集団に入ったわけです。そこにいる日本人は、特に当時は癖のある人が多かったと思いますが、その中でこういう人が好きだとか、嫌だなというのはありましたか?

松本:日本人でも外国人でも、政治的な駆け引きをする人は嫌いです。既存のポジションをめぐっていす取りゲームをする人より、自分で場所をつくって稼いじゃう人が好きだし、力があると思いましたね。たとえばセールスの場合、取引関係が構築できていて金額も大きいお客様を担当すれば、成績が上がるに決まっています。そうすると、客取りゲームになり、政治的駆け引きが始まるのです。

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