漁獲枠「半減」では不十分、マグロが消える日 太平洋クロマグロの資源量は過去最低レベル
「沿岸の漁は潰れかけており、もう何年ももたない。大至急、資源管理をしてください」8月26日に水産庁が都内で開催した「太平洋クロマグロの資源・養殖管理に関する全国会議」。会場に約300人の水産関係者が集まる中、長崎の離島・壱岐から来た一本釣り漁師の中村稔さんは、語気を強めて訴えた。
太平洋クロマグロの資源量は世界的に史上最低水準にある。日本や韓国、米国などが加盟する国際機関、中西部太平洋まぐろ類委員会(WCPFC)は昨年、未成魚(30キログラム未満)の漁獲量を、2002~04年の平均から15%の削減で合意していた。
だが今年、WCPFCの科学委員会が公表した最新の資源評価で、「10年以内に過去の中間値に戻すには15%の削減では不十分であり、50%の削減が必要」と判明。日本は9月のWCPFC北小委員会に向け、新たな削減案を取りまとめてきた。
日本の場合、02~04年の未成魚の漁獲量は平均で8015トン。この半分の「4007トン」を15年から新たな漁獲上限とし、大・中型巻き網が中心の沖合漁業に2000トン、定置網や一本釣りなどの沿岸漁業に2007トンを配分していく方針だ。
全国会議で窮状を訴えた中村さんが漁をする壱岐では、近年、クロマグロの水揚げ量が激減。昨年度は10年前のピーク時の約5分の1だった。同じ壱岐の漁師、尾形一成さんも「マグロがいないので、4月末から一度も漁に出ていない。2~3年で回復のメドが立たなければ、とてもやっていけない」とこぼす。
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