カウンセリング通いをするマフィア
人生の後半にさしかかると訪れるミッドライフクライシス(中年の危機)。現代社会では40歳前後から陥る人が多いとされているが、身体的・肉体的な症状の重さは人それぞれとしても、ふと何もかもが虚しくなったり、仕事や人生の選択がこれでよかったのかと不安を感じることは、誰にでも訪れる可能性があるだろう。それがたとえ、マフィアだったとしても。
第19回は、仕事と家庭のプレッシャーによる板挟みで心身のバランスを崩し、周囲に隠して精神科医のカウンセリングに通うマフィアが主人公の『ザ・ソプラノズ』(1999~2007年)を紹介しよう。
ニュージャージーを縄張りとするイタリア系マフィア、ソプラノファミリーの初代ボスの長男である、通称トニーことアンソニー・ソプラノ(ジェームズ・ガンドルフィーニ)。父親が亡くなり、伯父の通称アンクル・ジュニアがボスの地位に就くが、やりたい放題で実務能力ゼロ。実質的なボスとして、トニーが右腕の相談役シルヴィオ、幹部ポーリー、使いっ走りの甥クリスらをまとめてリーダーシップを発揮し、組織の繁栄を牽引している。
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