アコーディアvsレノ、株主還元騒動の顛末 「物言う株主」がねじ込んだ非情の要求

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アコーディアの先行きはいかに(撮影:大塚一仁)

とはいえ、今回のレノの要求をクリアすれば、これで万事丸く収まるわけでもない。

「レノグループのうち、4社は保有株式を自己株TOBに全株応募するはず。法的拘束力もある。が、3社は現在も株を買い増しており、TOBに応募するかどうかわからない」

アコーディア関係者がそう困惑するように、レノグループはアコーディアによる自己株TOBへの全株応募を表明した3月末以降も、アコーディア株を買い増している。レノグループの保有比率は3月末時点で関東財務局長に提出された大量保有報告書(変更報告書)では合計24.2%だったが、直近の8月12日提出分では34.62%と、10ポイント以上も膨らんでいる。

TOB応募後も筆頭株主に君臨?

3月末にレノグループでアコーディア株を共同保有していたのは、レノ、C&Iホールディングス、南青山不動産、シティインデックスホスピタリティの4社で合計24.2%。これら4社は、3月下旬にレノグループがアコーディアとの間で合意した、自己株TOBに保有株を全株応募するとの約束に縛られており、4月以降、アコーディア株買い増しも行っていない。

が、4月以降、新たにレノグループでは、シティインデックスホールディングス、フォルティス、リビルドの3社がアコーディア株の買い付けを始め、その保有比率は8月12日時点で合計10.42%に達している。これら3社は、3月下旬のアコーディアとの合意対象には含まれず、自己株TOBへの応募が義務づけられているわけでもない。

アコーディアが今回、最大で450億円・3214万株規模の自己株TOBを行うことにより、発行済み株式総数は現在の69.5%まで減る予定だ。一方、レノグループは4社が保有する全株をTOBで売却しても、残り3社が現在の保有株(10.42%相当)を維持し続けた場合、グループとしてのアコーディア株共同保有比率は15%程度となり、筆頭株主として君臨し続ける。その場合、アコーディアとレノとの攻防はさらに長引くことになる。

大滝 俊一 東洋経済 記者

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おおたき しゅんいち / Shunichi Otaki

ここ数年はレジャー、スポーツ、紙パルプ、食品、新興市場銘柄などを担当。長野県長野高校、慶応大学法学部卒業。1987年東洋経済新報社入社。リーマンショック時に『株価四季報』編集長、東日本大震災時に『週刊東洋経済』編集長を務め、新「東洋経済オンライン」発足時は企業記事の編集・配信に従事。2017年4月に総務局へ異動し、四半世紀ぶりに記者・編集者としての仕事から解放された

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