ベネッセ、垣間見えた顧客流出の代償 第1四半期は最終赤字に転落。通期予想も「未定」に

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テレビCMやDM配送等の新規会員募集をやめたことで、通信講座の新規加入者数は7月前年同期比半減した

ベネッセホールディングス(HD)は7月31日、2015年3月期の業績見通しを異例となる「未定」とした。従来は213億円の最終黒字を見込んでいたが、事業会社ベネッセコーポレーションが手がける「進研ゼミ」など通信講座を中心とする顧客情報漏洩の先行きがいまだ見えない状態にある。新規営業の自粛で新規入会者数も大きく減っており、従来の業績予想を取り下げざるを得なくなった。

同日発表した2014年第1四半期(4~6月期)決算は最終損失が136億円と初めて赤字に転落した。顧客情報漏洩に伴い、顧客への補償費用200億円、お詫び文書の発送や調査・情報セキュリティ対策にかかる費用60億円の合計260億円を特別損失として計上したためだ。

新規加入者数が半減

もっとも通信講座「進研ゼミ」「こどもチャレンジ」は顧客情報漏洩が発覚した7月以前から苦戦が続いている。在籍会員数は1064万人と1年前より5%近くダウン。さらにタブレット教材の導入でコストも増えており、国内教育事業の営業利益は第1四半期で前年同期比27%も減少している。

今後はさらに業績が下押しされる可能性もある。ベネッセが顧客情報漏洩を公表したのは7月9日。同月の退会数はこれまでの継続率向上策が実り前年同月より減ったとみられるが、テレビCMやイベント、DM発送等での新規募集を中止したたことで、「7月の新規入会者数は前年同月比で半減した」(財務・IR部)という。もちろん販促費が減ることで利益改善になる面もあるが、それ以上に新規売り上げが今後も減り続ければ、営業利益をさらに圧迫しかねない。

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